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日本アクションラーニング協会情報

「量子物理学と人間の意識の世界について」

宍戸 幹央(Ambitioners‘Lab 創設メンバー)

観測や認識によって状態が決まる

人間の意識や可能性は、どこまで明らか になっているのでしょうか。東京大学で 物理学を専攻し、現在は組織開発・人材育成コンサルタントとして活動している 宍戸幹央氏を講師に招き、3 回にわたって 量子物理学の世界から見える風景について話していただきました。

最初の回では、最先端の物理学によって 描かれる世界観が紹介されました。まず 宍戸氏は物理学における物質の捉え方について説明します。「古典物理学では物質 は “ 粒子 ”か“ 波 ”かでしたが、量子物理 学の世界では両方の性質を備えているとみなします。その存在は確率によって表され、観測という行為によって固定されます。つまり、事象は観測や認識によって 初めて状態が決まると言えるのです」と 宍戸氏。

日常の感覚からはなかなかピン と来ない話題に、冒頭から参加者たちもその言葉に慎重に耳を傾けます。現代の 物理学では、私たちの目に映る世界だけ ではなく、直接は見ることができない 世界が存在すると考えられているそうで、それらを宍戸氏は「明在系の世界」「暗在系の世界」という言葉で表現しました。このような量子物理学が描き出す世界の姿は、不思議なことに仏教や陰陽 道のような東洋思想と通底する部分が 少なくないそうです。

理論物理学からの<対話>の提示

第 2 回のテーマは、物理の観点から 見た対話や葛藤解決の世界観について。アメリカの理論物理学者ボームは、この 宇宙のうち私たちの目に見えている部分は、ホログラムのように投影されたものだ とします。そして、その裏にあるとされる見えない宇宙のように、現実の陰に隠された世 界に注目が集まっていると指摘します。「 リサ・ランドールという物理学者が、 五次元宇宙というモデルを提唱しました。

また、欧州原子核研究機構(CERN)も それを証明するための研究に取り組んで いるといいます。仮にこれらの見方が正しいとなると、世界の認識が一変する可能性があります」と宍戸氏。 ここで「見えない存在を意識する」という考え方に通じる 例として、宍戸氏はプロセス指向心理学を例に挙げまし た。まだ人間の認識されて いない情報に意識を向けることで、自分という領域を広げる 可能性が生まれるそうです。難しい内容の第2回でしたが、動画を活用して細く説明するなど最後まで興味を引き付ける内容でした。

現代の科学のテーマは「人間の内面性」や「ミクロとマクロの両面性」に接近

最終回は、これまでの常識を疑っていく内容です。まず、宍戸氏が話したのは意識について。「知覚から意識に至るまでの時間は、従来考えられていたよりもずっと遅く、0.5秒もかかるそうです。自動車でどっさに急ブレーキをかけたときがわかりやすいですが、まず体が動いてから脳の情報処理が後をおってくるのです」とのこと。意識は、その新体制と密接につながっているといい、身体を鍛えることで脳の処理も鍛えられていくと話ました。現代の科学が「人間の内面性」や「ミクロとマクロの両面性」などのテーマに接近している点について宍戸氏は「サイエンスがスピリチュアルに追いつきつつある時代」と表現します。

従来の価値判断や評価基準をいったん手放した状態で目の前の問題をただ見つめることが、よい問題解決につながるとして、セミナーを終えました。多岐にわたる分野の話題をつなげていく宍戸氏の話は、参加者たちにとって、まったく新しい世界を垣間見る貴重な機会になったようです。

※量子科学から見た世界観では、現象は固定化されたものではありません。また、物理学者によって対話が紐解きされる。アクションラーニングの父といわれる、アクションラーニングの提唱者レグ・レバンス博士もまた、物理学者でした。最先端の物理学とまさに、私たちがとらえている意識変容の科学はつながっているものだとおもえます。

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