問題解決とチーム学習の組織開発手法であるアクションラーニングを活用した、経営幹部養成や管理職研修プログラムを提供しています。

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日本アクションラーニング協会情報

年次カンファレンス2015年 大日本印刷株式会社による 「働き方の変革」プロジェクト

組織の多様性確保のために女性の活躍を推進

組織を活性化させるためには、内部 で働く女性の活躍をはじめとする、メンバーの多様性を実現することが欠かせません。私は大日本印刷で社員の研修に関わってきましたが、この多様性の実現のために、「働き方の変革」という取り組みを行いました。そもそも、女性社員活躍推進活動において、社内には 3つの大きな問題点がありました。 それが「女性社員がキャリアプランを描 けない」「職場にロールモデルとなる 先 輩社員がいない」「ワーク・ライフ・ バランスの実現が難しい」です。この3つの問題を解決するために、それぞれ 対応する 3つのプログラムを実行して います。そして、この中で活用されて いるのがアクションラーニング(A L)なのです。

AL を活用したプログラムで課題の解決を図る

まず、「女性社員がキャリアプランを 描けない」という問題に対しては「女性 社員のキャリア研修」が行われています。
これは、若手の女性社員が上司の支援を得ながら、自身の長期的なキャリアを 考えてもらう研修です。毎年約200人の女性が受講し、10年近く継続しています。その内容は、上司と部下が対話 形式で 3 回のキャリア面談を行っていくというもの。対話を通じて自分が抱えて いる “ もやもや ” と向き合うことで、 本当の問題と課題に気づくことを促して いきますが、この時に AL を使用して います。1 人に与えられる時間は 25 分。 最初の 10 分間で問題の本質を探る質問 をしながらそれを明確化し、次の10分間では、ゴール設定と解決策を模索する 質問によってチームの問題にしていきます。
そして最後の 5 分間で問題解決の ための一歩を踏み出すサポート宣言を行います。これは AL のセッションとして は極めて短時間ですが、空欄に記入しながら進められる「演習シート」のような ものを活用し、効率的に実施しています。 次に、「職場にロールモデルとなる先輩 社員がいない」という問題に対しては、 職場の女性リーダー育成を目指す「メン ター育成プログラム」を実施しています。 まずはキックオフ合宿でメンタリングスキル を習得した後、3 回にわたって行われる メンター(課長手前)勉強会では 1 人 60 分間かけて AL を実施するとともに、 並行して異なる事業部のアドバイザー(本 部長クラス)のメンタリングを受けることで、メンターを育てていくというものです。 そして「ワーク・ライフ・バランスの 実現が難しい」という問題については、「働き方の変革」活動の中で取り組みました。
これは、課長を中心とした課単位で、活 動方針や実行計画を部署ごとに作って回していくという活動。従来はバラバラであった課題の解決方法を組織内で横断的に行っていくやり方だといえます。ここでも AL の手法が導入されていて、ゴール イメージ実現のために働き方を見直して いく会議に使われています。この会議の ことを、社内では通称『カエル会議』と呼んでいます。「チームワークの向上」 など 5つの目標を目指して、課長とメン バーで具体的な計画を立案していきます。
原則、週に一度会議を行うことで、生 産性の高い職場をつくるだけでなく課内 のコミュニケーションが活性化し、信頼 関係が生まれるというものです。この 会議には3つのポイントがあります。
一つ目が、自身の現在の働き方を確認 するという点。
二つ目は、自分の業務 課題を抽出できるという点。
そして三つ目が、チームで働き方の見直しを行うと いう点です。これらのポイントによって、 課題が明確化されていきます。
また、 カエル会議は、普通の会議形式で課長 が話しても変革にはつながりません。 態度や進行方向が重要なため、「質問 会議」のルールを導入することで効果が発揮されるのです。

受動的ではない学習が社員にとって貴重な経験に

AL を導入したことによるメリットは、 経営側・部門側という2つの局面でありました。経営側にとっては、会社のグルー プビジョン(行動指針)である『対話と協働』の体現ができたことが挙げられます。一方、部門側にとっては、ルールさえ持ち出せばどこでも活用できる汎用的なメソッドを習得できた点が挙げられます。
プログラムを経験した社員にとって、対話スキルの向上や組織の変革に関わる経験は、決して受動的でない学習になっています。
今後については、まず現在社内にいるALコーチを中心にALマインドを組織全体に浸透していきたいと思います。
ALコーチを務められる資質を持っている人材も限りがあるため、大きな組織内にどのようにして広めていくかという点は課題であると言えます。
また、学びのプロセスへの共感を理解してもらうことも重要です。どのように学ぶかというプロセスを考えない人も多いため、コンテンツでもテーマでもなく、プロセスが重要なのだということを、いま一度、強調していく必要があると感じています。

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