年次カンファレンス2019レポート②エクセレントアワード2019受賞企業 一般財団法人 滋慶教育科学研究所
目次
日本アクションラーニング協会 年次カンファレンス 2019
N対Nの組織開発
2019年7月27日(土)に日本アクションラーニング協会 年次カンファレンスを実施しました。本年のテーマは「N対Nの組織開発」。第1部ではエクセレントアワード2019の発表を行うとともに、教育機関でのアクションラーニングの導入の第一人者である早稲田大学総合研究センター 日向野幹也教授に、大学における取組について伺いました。
第1部
■エクセレントアワード2019 発表&紹介
エクセレントアワードとはアクションラーニング(マーコードモデル)で組織を活性化させた組織・個人を表彰し、優秀なアクションラーニング事例を公表することによって、その活動を日本社会に普及させる事を目的とし、2005年から始まりました。各プログラムの目的性、難易度、独自性とその成果を考慮しアクションラーニング活動の卓越性を基準に審査いたします。
エクセレントアワード2019受賞 一般財団法人 滋慶教育科学研究所
「~教職員の教育力と運営力の向上~」 増井 信夫氏
一般財団法人 滋慶教育科学研究所は全国で専門学校を展開する滋慶学園グループの研究開発期間として1976年に設立されました。
同学園グループは時代の変化と社会のニーズを絶えず見つめながら、500職種を超えるスペシャリスト人材を養成、これまでに国内外を問わず様々な産業界に24万人以上の卒業生を輩出してきました。
職業教育機関として全国に76校を展開しており、海外提携校や海外実習校も全世界で
100ヵ所以上に上っています。
2012年より現在までアクションラーニングを使って、教員等教務系の職員だけでなく、学校運営に携わるスタッフに研修を行うと共に、200名に及ぶ社内コーチを養成するなど、
組織全体の教育力と運営力の向上を図るプログラムを実践されています。
アクションラーニング導入の対象設定がバラエティに富んでいること、それぞれの対象の方へ違ったアプローチでの導入がユニークなことから今回の受賞に至りました。
増井氏は「教員は教えるプロである一方、学生に問いかけ、考えさせることが決して得意ではない」といった問題意識から、学校も「学習する組織」に進化するべく質問会議のセッションを行っているとお話しくださいました。
教職員の教育力・運営力の向上を目的に、授業を校内に公開し質問会議のリフレクションのセッションを応用したものを事後研修で導入したり、ミドル層の学科長がコーチとして関わったりといった活動を7年間行なっており、現在校内コーチを200名ほど養成され、学習するサイクルの基盤が作られています。この滋慶教育科学研究所のプログラムの独自のポイントは、教える側の人に対してのトレーナーズトレーニングを、企業のマネジメント層向けのプログラムを上手く応用し組織全体で実施し続けている点です。
研修受講者の方からは「これまで解決策を示すことがマネジャーの役割だと思っていたが、この研修をすることで、スタッフ自ら考え学んでもらうことが大事だと感じた」などの感想が多数寄せられているそうです。
成果を検証するのは難しくもあるが、こういった現場の生の声を拾っていき、経営者にも共有して理解を得ながら進めているとのことです。「現在、少しずつ学習のサイクルが回り始めた実感があるが、今後はこの学習のサイクルを教員から学生たちにどう展開していくかが課題」とお話くださった増井氏。
清宮代表からは「トレーナーズトレーニングとマネジャートレーニングを上手に組み合わせて展開した大型プロジェクト。是非今後の展開と定着も含めて期待しています。」との激励を受け、エクセレントアワード表彰とその事例発表は締めくくられました。
写真:山本奈月
文:波多野あずさ