問題解決とチーム学習の組織開発手法であるアクションラーニングを活用した、経営幹部養成や管理職研修プログラムを提供しています。

03-4400-9867
受付時間:平日9:30-17:30

organization

組織概要

『質問会議』書籍紹介

清宮 普美代 (著)

トヨタ自動車、NEC、富士ゼロックスなどで続々導入、意見を言ってはいけない不思議な会議。今この会議が驚きの成果をあげている。投げかけられた質問が、他人の思考のスイッチを入れ、連鎖し、スパークする。思考が共鳴し合い、「チーム脳」が働きだす。

目次

  • 第1章 なぜ、あなたのチームは機能しないのか(質問会議が生み出すもの;チームを活性化させる場はあるか;チームをマネジメントする方法をもっているか)
  • 第2章 基本の流れをおさえれば誰でも質問会議ができる(質問会議のエンジン;質問会議 実施におけるポイント“魔法の仕掛け”;質問会議の進行の12ステップ)
  • 第3章 紙上で体感!これが質問会議だ(質問会議デモセッション;再定義できないケース;胃県会議との違いを考える;質問会議がチームの生産性を上げる5つの理由)
  • 第4章 質問会議で鍛えるチーム力(質問会議で開発される能力;チーム脳を誘発する共有と共感のマネジメント;リーダーの仕事はチーム脳を出現させること;チーム脳がチーム行動力を生む)
  • 第5章 質問会議が現場を変えた!(真の問題を発見できた;コミュニケーションが活性化した;現場の実行力がアップそた;変革リーダーが育成できた;lチーム活性化がはかれた;理念の共有がはかれた)

『質問会議』まえがき

「今日の会議では、自発的に意見を言うことを禁止します」

上司が突然こう言いだしたら、あなたはどう思いますか。会議なのに自発的な意見禁止?!奇抜な提案にきっと戸惑いますよね。

何を始めようというのか?
会議で意見を言わないで、どうする気なんだ?
何か意図があるのか?

参加メンバーがさまざまな思惑を交錯させるなか、誰かがこうたずねるはずです。

「それでは、どうやって会議を進めるのですか?」

すると上司は、

「まさに、いまあなたがやった方法で進めていこうと思います」

と答えます。

「今日の会議では、誰かが質問して、それに答えるという方法で議論を進めます。発言は必ず「質問」か、その「答え」でなければなりません。つまり、自発的に意見を言うことは禁止です。よろしいですか?」

こうやって、奇妙な質問会議はスタートします。不思議な光景ですが、これは多くの企業でいま実際に起こっている出来事です。ですが、本当に「質問」と「答え」だけで会議を進めることができるのでしょうか。

普通、会議といえば活発に意見を述べ、よりよい結論を導き出すものと相場が決まっています。優れたメンバーが集まり、幅広い意見が出れば出るほど、よい会議、生産性の高い会議と考えられますよね。
ところが、質問会議では(自発的な)意見そのものが禁止されてしまいます。
そんなルールを突きつけられれば、「発想はおもしろいけれど、現実的ではない」と考える人がいても不思議ではありません。あるいは、「話し合いが停滞し、会議が成立しないのでは…」と心配になるのも理解できます。

しかし、この手法が多くの企業で採用され、効果をあげているのは事実なのです。
「質問会議」とは私の造語ですが、「アクションラーニング」という言葉なら聞いたことがあるでしょうか。その歴史は半世紀以上ありますが、ここ数年で急速に注目を集めているメソッドです。
実は、このアクションラーニングこそ、質問会議のエンジンなのです。このエンジンを使うと、組織の課題解決を行なうなかで、自分もまわりも成長する仕組みが働きだします。チーム活動が自律的に起こり、チーム内のコミュニケーションも格段
によくなる。おまけに、一人で考えるのではなく、みんなで考えることで、問題解決策もより効果的になるし、何より、みんなのモチベーションが上がります。
今日の問題解決を行なうなかで、明日の問題解決力をつける手法、それがアクションラーニングというものだと言われています。

こんな魔法のような手法…本当でしょうか?
私が初めてアクションラーニングに出会ったのは、1999年。米国のジョージワシン
トン大学大学院に留学し、マイケル・J・マーコード教授に師事したときのことです。マーコード教授は、リーダー育成に半世紀以上も成果をあげているアクションラーニング手法からエッセンスを抽出し、独自のルールと基本的な運営方法をまとめました。
アクションラーニング自体は、欧米ではすでにその力に注目が集まり、利用も高まっています。GEのリーダーシップ開発プログラムやワークアウトなどの代表的な導入事例の他にも、モトローラ、ボーイング、IBMなど枚挙にいとまがありません。
日本でも、マーコード教授の実践知が詰まったルールと運営で、マーコード流アクションラーニングであるこの「質問会議」は、トヨタ自動車、NEC、富士ゼロックスなどの企業の管理職研修に取り入れられ、数千人のマネジャーが実践しています。

この手法の展開に際して、2006年、マーコード教授を顧問にアクションラーニング
の理解と組織導入の推進を目指して、日本アクションラーニング協会が設立されました。これまでに公式トレーニングを受けた約250名のアクションラーニング(AL) コーチが輩出され、組織導入時の核になる活動をしています。
しかし、本当に効果が得られるのでしょうか? あなたは、いま半信半疑ですよね。
なぜ質問だけの会議が生産性を上げるのか?本書のタイトルになっているこの疑問こそ最大のテーマです。

本書では、まず「質問会議」が何であるか、企業や職場で起きている問題に対して「質問」がどう機能するのかを考えます。次に質問会議の進め方の実際を紹介し、メカニズムを説明しながら質問会議の有効性をひもときたいと思います。そして、質問会議が個人やチームの能力に及ぼす効果を考え、いま必要とされているチームリーダーの条件やチーム力について、事例と合わせて紹介します。

もちろん質問会議の醍醐味を理解するには、実践してみるのが一番です。残念ながら、「文字」でそれをすることはできません。
今までも、一日の説明より実際にやってみて、「なるほど」と納得する人がほとんどでした(私もその一人です)。ですが、今回はみなさんに書籍を通じて、この「質問会議」をできるだけリアルにわかっていただきたいと思っています。これは、実は、大変な挑戦です。
みなさんも「自分の問題に対して、質問会議がどう効果的なのか?」という問いに答えるつもりで本書を読んでみてください。
そのような関係で本書を通じて、冒頭の会議のようにみなさんとのやりとりができれば、最大のテーマである「なぜ質問だけの会議で生産性が上がるのか」という問いの答えが見えてくるはずです。
このシンプルで、魅力的な質問に答えるべく、本題に入っていきます。

メルマガ登録