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日本アクションラーニング協会情報

学習の「質」とは?~学習にはどのような構造化が必要か~③

Learning Base 02 #03  新しい常識 リモートワーク時代の私たち

U理論×アクションラーニング

100年後の常識を考える 22世紀からみる視点 未来への橋渡し

私は今の状況だけを見て、問題に対処しないように心がけるようにしています。私がよく思うこととしては、22世紀から見た時に何が常識になろうとしてるのかということだったりします。「22世紀になったらこういうことが常識になっていくんだろうな」と自分の中で思えるようなものや、ぼんやりとした感覚を頼りに、22世紀への橋渡し役の自分として何を問われてるのか、何をしろって言われていのるのかっていう観点で考えてるんですよね。

■清宮コメント
コロナ(COVID19)問題もあって、常識がまさに変わっていく時代です。変わることに対応していく、適応していくのが、学習力だったりするので、この力がないと、自分のウエルビーイング(WellBeing)が保てなくなるような気がします。なので、思考の筋力は、ここにつながるかと。

私もそこに対しては非常に気になっています。心が追いつかない、っていうなることで鬱な状態になっちゃう人は増えるだろうな、という気がしてるんですよね。そこに対して何とかしたいという想いはあります。今回のコロナの影響の話でいうと、在宅勤務が長引けば長引くほど、あとは不景気による雇用整理が激しくなればなるほど、自殺率が高くなる可能性は十分にあると思います。人と会わないって社会的な孤立の状態みたいなものがその人のウエルビーイング(WellBeing)を著しく悪くするだろうなと思いますよね。

ハーバード大学で教鞭をとられていたタル・ベン・シャハーさんが、この春に来日されて、そのセミナーに参加させていただきました。彼はいくつもの研究結果を共有してくれましたが、中でも面白かったのが南米での調査の事例でした。南米のある国から依頼を受けて幸せに関する調査を行ったそうです。どの国の幸福度が高いか、中でも年代別にはどんな違いがあるのかを調べたところ、南米は幸せ度合いが高かったそうです。それは以前に存在していた調査結果からも予想はついていたらしいのですが、その時点での調査で判明した新たな事実は、年代別に見てみると、南米において幸福度が高いのは、年齢層が高い方で、年齢が下がっていくに従って幸福度が低くなっているということでした。それがなぜかというと、家族との繋がりみたいなものを年長者であればあるほど、すごく大事にしている。対して若者は SNS ですごく繋がってるんだけども、密接な人との物理的な接触の度合いが低いことが、幸福度を下げていた。なので、SNS のつながりの多さは、幸福とは関係ない、本当に人としてのつながりってすごく大事なんだっていう話がすごく印象に残っています。 今回、在宅勤務やリモートワークを強制されてる時間が長くなればなるほど、そこに対してWell-Beingの欠落みたいなのは、強くなるだろうなと思います。

リモートワークの効果を規定する職場の「心理的安全」

小集団による密なつながりというのは、ニーズがすごく増えるだろうなと思います。今までライブハウスやスポーツ観戦などの大規模でやっていたものは、ワクチンができるまでは当面できないだろうなと思うと、みんなで一斉に盛り上がるのではなく、少人数で深く繋がるっていう事がより求められ、かつ常識化してくると思います。新しい社会のあり方が生まれてくるんだろうなって気はするんです。

■清宮コメント
自宅にいるということで、ファミリーが大切な時代でもありますね。逆にいうと家族が壊れていると大変だと思います。

そういう意味で二極化すると思っています。
職場においても心理的安全性が、もともと高かった職場はリモートワークになったとしても、レジリエンスがあるので、たまに少人数で集まっていた時に、親密さを取り戻す感覚があると思います。もっと言えばそこを上手く機会としてデザインすることの必要性が強くなるだろうなと思います。心理的安全性の高い会社であればあるほど、リモートで活動してる人たちをチーム単位で empower しようとする動きが加速でそうな気がしています。

逆に、心理的安全性が低くてトップダウン、指示命令で動いてきた会社では、見えない不安から監視を強めるために、仕事の透明化しようとするとすると思うんですね。これが多分、逆に、対面で会った時に緊張感が高まってしまう可能性もあるだろうなと思うと、このリモートワークに対しての関わり方ひとつとっても、どういうパラダイムでこれまで活動していたかが浮き彫りになるのではないかと思います。

リモートワークを強制化しているということで、効果的に進まない、だから無理やり透明化して、より監視が強くなっていくということですよね。

■清宮コメント
リモートワークが機能しない組織もありそうです。ティール組織とか、新しい組織ってそれこそ透明度が高い組織であるとも思うのです。つまり、言っていること、やっていること、思っていることがクリア、透明というか。腹を探りあうコミュニケーションは、デジタルを使った動きには会わない。リモートワークだと違う組織運営を求められると思います。

組織開発、人材開発ビジネスモデルは崩れている ~オンラインはリアルの置き換えではない~

アクションラーニングコーチを養成するやり方でも、コンテンツを流し込みのではなく、リフレクションを誘発しながら、体験として落とし込んでいく。このフィードバックの新しい構造化が必要だと思っています。対面でないセッションであること、オンラインだからこそいいこともありそうです。常識は変わるでしょう。

現在、私たちが行っている研修的なもの、組織開発、人材開発でも、対面であることで仕事が成り立ってるっていうのがある。そう考えると、ビジネスモデルの根幹が崩れてるですよ。いま、オンラインとリアルそののそれぞれの特性の違いをまとめてるんですけど、リアルをオンラインで置き換えようとするという発想で対処しようとすると限界があるように感じています。そうではなく、オンラインの特性をいかして何ができるかを考えることが大切なのではないかと思います。アクションラーニングコーチの養成でも、実は、オンラインだと録画もできるので、的確な実際的なフィードバックがしやすいかもしれませんね。

オンラインと対面は、組み合わされていくので、提供側としては、ある意味手間はかかります。研修講師やファシリテーターが、その場の流れでうまいこと切り盛りするというやり方は通用しづらくなるのではないかと思います。
事前に知識としてどんなことを提供しておくのか、それがどのように深まるようにサポートするのかといったプロセスデザインがより重要になってくると思います。

■清宮コメント
単純なコンテンツ提供型の研修はなくなっていくと思います。プロセスを体験して、そのやり方を、再現性をもって獲得していくことに対するニーズはより高まると思います。いままでの文脈だと、その体験そのものがリアルでその人にとって珠玉の宝になってたという価値もありましたが、よりそのプロセスの言語化、知識化を抽出して、エッセンスを纏めることが必要。ものすごく変わりました。

コンテキストをもちながらコンテンツを提供 ユーチューバーをベンチマーク

コンテンツを重視していた時代が90年代よりも前があったとすると、コンテクスト重視になったのが2000年代。それをもう1回 統合する形でコンテンツ重視になっていくような気がするんですね。そういう意味で言うと、こういったものの進化ってエンターテインメントの世界が早いなぁ、と思ってるんです。ユーチューバーって、コンテキストを持ちながらコンテンツを提供するっていうある意味、先進事例だなって思います。

彼らがやってるような事っていうのを、我々もどんどんやっていかないといけないんだろうなっていう風に思いますよね。これまで行ってきたことが、1時間半かかるようであれば、それを動画で表すには5分でやれないといけなかったり、そんな中でもコンテクストがちゃんとできるようになっている必要があるかと思います。そうした要件がこれからはますます重要になってくるのではないかと思います。

スピーカープロフィール

中土井 僚

  • オーセンティックワークス株式会社代表取締役
  • 株式会社ミライバ 取締役
  • 社団法人プレゼンシング・インスティチュート・コミュニティジャパン理事
  • 特定非営利活動法人日本紛争予防センター理事

リーダーシッププロデューサー。「自分らしさとリーダーシップの統合と共創造(コ・クリエーション)の実現」をテーマに、マインドセット変革に主眼を置いたリーダーシップ開発及び組織開発支援を行う。
コーチング、グループファシリテーション、ワークショップリードなどの個人・チーム・組織の変容の手法を組み合わせ、経営者の意思決定支援、経営チームの一枚岩化、理念浸透、部門間対立の解消、新規事業の立上げなど人と組織にまつわる多種多様なテーマを手掛ける。
過去に携わったプロジェクトは、食品メーカーの理念再構築、業績低迷と風土悪化の悪循環が続いていた化粧品メーカーのV字回復、製造と販売が対立していた衣類メーカーの納期短縮など100社以上に及ぶ。
アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア)とその他2社を経て独立。2005年よりマサチューセッツ工科大学上級講師であるオットー・シャーマー博士の提唱するU理論における啓蒙と実績に携わり、現在に至る。
著書に「U理論入門」、「マンガでやさしくわかるU理論」、「U理論の基本と実践がよ~くわかる本」、共訳書に「U理論」、「出現する未来から導く」、監訳に「なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか」などがある。

 

清宮 普美代(せいみや ふみよ)

  • 日本アクションラーニング協会 代表
  • WIAL公認マスターALコーチ
  • 株式会社ラーニングデザインセンター代表
  • 株式会社YBT 代表
  • ODネットワークジャパン 理事

東京女子大学文理学部心理学科卒業後、株式会社毎日コミュニケーションズ入社(現:株式会社マイナビ)。Web就職情報などの新規事業の立ち上げや新雑誌創刊と社内システム構築など数々のプロジェクトに責任者として携わる。15年の勤務を経て、渡米。ジョージワシントン大学大学院にて、経営課題を共有化し解決しながら、リーダーと自律型チームを育成する開発手法「アクションラーニング」と出会い、研究を進め、人材開発修士号を取得。
2001年に帰国後、外資系金融機関にて人事責任者、社長室長を経て、2003 年4月に株式会社ラーニングデザインセンターを設立。2007年には国内唯一のアクションラーニング(AL) コーチ認定機関、NPO法人日本アクションラーニング協会を設立。代表を務める。2013 年1 月現在まで、約450 名のALコーチを輩出している。企業導入としては50社を超える導入実績がある。
現在は、AL コーチ、シニアAL コーチの育成や企業導入に対するコンサルティング、講師、講演など多数で活躍。2010年1月、全世界で9人しかいない、日本人としては初めての世界アクションラーニング機構(WIAL) 認定マスターアクションラーニングコーチに就任。翻訳著書に『実践アクションラーニング入門』(2004年 ダイヤモンド社) マイケルJ・マーコード著。著書に『質問会議』(2008年 PHP出版)『チーム脳のつくり方』(2009年 WAVE出版)『対話流』(2009年 三省堂)『20代で身につけたい質問力』(2011年 中経出版)などがある。