年次カンファレンス2015年 パネル ディスカッション
パネル講演に続いて、登 壇者たちによるパネルディスカッションが行われました。
アクションラーニング(AL)を使いながら組織風土を変えていくことを考えた場合、先行事例を知ることは大きなヒントになります。
そこで、この後に行われる予定の分科会に先駆けて、「企業」「教育」という2 つの現場で行われた取り組みについて、実際に携わったパネリストたちが紹介しました。
最初に三菱商事都市開発の斉藤氏が、中堅クラスを交えて行った「質問会議」について紹介しました。3ヶ月間行ったことで、 コアメンバーたちの当事者意識が向上したと斉藤氏。また、会議などにおけるコミュニケーションの改善効果も見られたそうです。
一方で課題もあったとし、問題の本質を見極める力の向上まで至らなかった点や、活発な議論をアクションに繋げられなかった点を挙げました。
続いて、日立情報通信エンジニアリングの永田氏が話しました。永田氏は、会社の組 織 再編により背景が異なる社員同士がシナジーを創出することを促進するためALを取り入れたそうです。ALがつくり出す安心・安全の場によって、日常では話しにくいことまで話せるような信頼関係が 生まれつつあるとその効果を強調しました。
一方、教育現場での取り組みを紹介したのが立教大学の日向野氏。
地道な取り組みによってALが浸透している経営学部では入学式前に実施されるウェルカムキャンプで、新入生全員がALを体験します。
特に今年は、大掛かりなプログラムをつくって満足度を上昇できたそうです。学期中のプログラムでは、浅草の西参道商店街の活性化についてALを使いながら取り組んだほか、人事部主導による立教大学の職員研修にも活用されていると説明しました。そして最後にマイクを持ったのは熊平氏。問題解決のためには安全な場づくりが重要であること、そしてこうした教育現場を卒業した学生が社会に出ることが楽しみだと大きな期待を述べました。
残りの時間を使って、会場の参加者からの質疑応答が行われました。最初に出た質問は「成功体験が捨てられない人に、どのように学習してもらえばよいか?」というもの。
これに対して斉藤氏は、目標を与えるなど周囲のフォローがあるとよいとし、永田氏も「なぜそういうやり方をするのか?」とプロセスを問い直すことが重要としました。
また、「できる学生とできない学生との断絶に対して、どのように応じるべきか」という質問について、熊平氏は多くの人に何が大切なのかを根気強く伝え続けることが大事としました。
日向野氏は、早い段階で振り返り、学習サイクルを自分自身で回す必要性を説き、高大連携などによる解決の可能性に期待しました。
ほかにも多くの質問が寄せられ、パネリストが丁寧に答えていきながら会場全体で知見を深めていきました。