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日本アクションラーニング協会情報

年次カンファレンス2016 事例発表 vol2

一体感醸成施策としてスタートした「段飛び・クロス懇談会」株式会社 日立情報通信エンジニアリング経営マネジメント本部 人財ソリューション部 永田 誠

導入の背景と目的

会社合併による事業シナジー創出の課題
私たちは 2013 年 12 月からアクションラーニング(AL)を導入しています。
同年の 4 月に、日立コンピュータ機器株式会社と日立情報通信エンジニアリング株式会社が合併し、新たに株式会社日立情報通信エンジニアリングとしてスタートを切ったのですが、合併によるシナジーが思うように発揮されない状態が続いていました。そのような状況に対処するため、先ずは新会社としての一体感を醸成する全社的な施策を推進することとなったのです。
一体感を醸成するためにはどうすればよいか。その問いに対し、私たちは、技術・人・情報・ビジネスモデルなどのリソースを共有すること、社員や組織の多様性を上手く活用すること、仕事の手順や慣習、業務で使用されている言葉の定義などの曖昧性を解消することなどが必要と考えました。そしてそのためには、所属や職位、勤務地等が異なる社員が集まり、情報交換や事業課題の討議ができる場をつくることが必要だと感じたのです。

プログラム概要

多様なメンバー編成による ALの実施
そこで考えたのが、事業部内の職位の「段飛び」だけではなく、事業部・職位が異なるものの交流(クロス)の場を提供するためのプログラムの策定でした。そこに AL を用いたのは、ALの手法が事業課題を多角的な視点で考察するのに適していると感じたからです。
本プログラムの対象者は、本部長、部長、課長、技師・主任相当職の混合で、全社員数の 10%程度にあたる、約400 名になります(当時)。セッションのグループを作る際には、所属や役職、在勤場所、出身会社などがなるべく重複しないようにすることで、メンバーの多様性を確保するよう心がけています。
また、事前に「ビジネスモデルキャンバス」という共通のフレームに参加者各人の事業を取り巻く環境や課題を記入してもらい、それをメンバーに送付しておくことで、社員同士の情報交換と相互理解の促進を図っています。
プログラム開 催当日は、運営事務局からプログラム実施の趣旨の説明を行った後、各グループに AL コーチを加え、現状の問題認識の共有と AL セッションを行います。午後 1 時からのプログラムで、70 分のセッションを 2 回行っていますが、2 回目のセッションでは一体感が生まれるのか、1 回目のセッションより場が活性化する様子も目にすることができます。
プログラム終了後には懇親会を開催しており、これも出席者の交流促進に繋がっているのではないかと感じています。
プログラムに参加した者からは、「新しい視点を獲得できた」「メンバーの課題や悩みが共有できた」「他人への理解が深まった」というコメントを頂いており、セッションの効果に手応えを感じています。
また、「AL コーチが入ることで、自社で常識と思っていたことが外部から見れば普通ではないことが分かった」「もっと外部の人間を入れて議論したほうがよいのでは」というコメントも寄せられていました。
「AL セッションのメンバーとしてもっと社外の観点を追加できないか。」この要求に応えるため、昨年 10 月からは立教大学の学生 AL コーチの方にもセッションに参加していただいています。当初は学生をセッションに参加させることに対し反対する意見もありましたが、実際に学生さんに参加していただいたセッションには、「素朴で新鮮な質問により新しい視点に気が付けた」「先入観のない視点が新鮮だった」などのコメントが多数寄せられており、概ね好評をいただいています。

実施を振り返って


目的であった一体感の醸成につながった
前述のような参加者のコメントからも、本プログラムの効果を感じています。
「自分ひとりの問題と思っていたことが実は他の人にも共通するものだった」という課題の共有化や、「自分が常識と思っていたことが実は当たり前ではないことに気がついた」という多様な視点や価値観の再認識は、本プログラム導入の目的でもあった一体感の醸成に繋がることと思います。
開催回数が増えるに伴い、参加者の多様性確保が困難になってきているなどの課題もありますが、今後も、多様性の活用による生産性の向上や新たな価値の創出、および社内のコミュニケーションの活性化に資する施策として引き続き取り組んで行きたい所存です。
また今後は、マネージャ研修や若手社員向け施策にも AL を取り入れていくことにも取り組み、一体感の更なる醸成と多様性を活かしたイノベーションの促進につなげていればと
思います。