問題解決とチーム学習の組織開発手法であるアクションラーニングを活用した、経営幹部養成や管理職研修プログラムを提供しています。

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日本アクションラーニング協会情報

企業における アクションラーニングを活用した 組織開発の実践

浮かび上がった4項目の課題認識

これまで当社は、商業 施 設の運営受託業務を中心的に行ってきましたが、2013年に事業戦略を大きく転換しました。
経営資源を開発事業に集中させ、都市型商業施設や物流施設における収益不動産開発デベロッパーへとコア事業を転換。それに伴い、組織改編も行いました。
こうしたタイミングにおいて、あらためて組織風土課題の洗い出しを行うために、社内で意識調査と内部監査の結果を検証。4つの課題認識が浮かび上がりました。
1つ目の課題が「当事者意識をもった次世代の育成」です。社員の当事者意識にばらつきがあり、受身の社員が多いという声が上がりました。変革に向かって挑戦するマインドを備え、自ら考えて発信し行動できるような社員の育成が必要だと考えられました。2つ目の課題が「コミュニケーション力の強化」です。横関係の情報共有が少ないことや、結論の出ない非効率な会議も散見され、今後はチーム・組織が知見を効率よく共有して推進力を強化する必要性が認められました。
3つ目は「問題の本質を見極められる力の育成」です。この力を伸ばすことで、それまでに散見されていた単純なミスの繰り返しを防ぐことが可能になると考えられました。そして最後が「リーダーシップの育成」です。
これは会社の戦略や方針が社員一人ひとりの「自分事」として浸透していなかった点や、そもそもリーダー層に人を育成し、組織を動かす意識が不足していたことから課題として挙がりました。
リーダーシップを育て、部下や後輩の育成を文化として根づかせることが大切だと考えられました。
こうした課題を解決するための手段を模索し、さまざまな情報収集を行っていく中で、アクションラーニング(AL)の講座を知り、受講させていただいて、好意的な印象を持ちました。
他の人材開発手法は個人を対象とするものが多かったのに対し、ALは小集団の組織が対象だった点が、当社の課題解決に合っていると思えたからです。会社の変革期においては、社員を取り巻く環境の変化の中、それぞれがいかに内省(振り返り)と持論化(教訓を引き出すこと)を行っていけるかが成長のカギと考えました。AL の力によってその2つの力が強化できると考え、導入を決めました。

3ヶ月間で 39回の「質問会議」を実施

組織開発プロジェクトとして、大きく2 段階のフェーズに分けて行いました。
第1フェーズは「変化への触発」と称して、社内変革のコアとなる人材の育成、組織の課題の可視化を、3ヶ月間にわたって行いました。
続けて行われる第2フェーズでは、その定着化を図っていく予定です。第1フェーズの参加対象は、商業開発部とコーポレート部の40名。
そのうち、チームを動かしていたり周囲から期待されている社員5名を、特にコアメンバーとして選定しました。このコアメンバーが対象の「コア人材育成」と、その他のメンバーが対象の「現場展開」という2種類のプログラムを進行します。
「コア人材育成」では、変革コア人材育成講座を4回にわたって実施。その内容は6つの項目からなり、
1.自身のリーダーシップスタイルの振り返りと課題の設定
2.組織風土診断から見た課題の設定
3.「経験学習」の体系的理論習得
4.「質問会議」を実施するスキル習得
5.「質問会議」の企画と実践
6.組織議論です。
一方、「現場展開」の内容は社内における「質問会議」の実践が中心で、事前に社内説明会を開いて内容を説明してから実施していきました。
回数が多いことが特徴で、マネージャー以下をメンバーとしたものが35 回、部長以上を問題提示者としたものを4回行いました。
ファシリテーターとして、日本アクションラーニング協会の方だけでなく、メンバーもALコーチを担当したことで、色々なメンバーによる多様なコミュニケーションが展開されました。

一定の成果が感じられ、参加者からも好評

第 1フェーズを終え、それぞれの「質 問会議」で提示された問題を分類してみました。
すると、コミュニケーションに課題を持つ社員が多いことがわかりました。自分自身のミッションが不明確だという問題、そして周囲に自分の思いを伝えづらいという問題が多かったのです。つまり「わからない」状態のまま業務をして、そのことを「問い」につなげられていないという状況が浮き彫りになりました。 事前に挙げていた 4 つの課題に関しては、成功したものと課題を残したものがありました。
「次世代の育成」は、 コアメンバーのリーダーシップ育成は成功したと言えます。「コミュニケーショ ン力の強化」については、「質問会議」 を行うことで部分的に強化されたもの の、その継続性が課題となりました。「問題の本質を見極める力の育成」については、多様な質問が本質の掘り下げに繋がるという重要性を共有でき たものの、具体的な提案や実行には つなげられていないため、育成という点 では保留という評価です。
そして「リーダーシップの育成」に 関しては、3ヶ月という短期間の取り組みでは育成まで至りませんでしたが、 AL の結果からビジョンやミッションの 伝達に不足があることが判明。組織において明確にビジョンを示せるリーダーの重要性を再認識できました。
プログラム全体を振り返ると、取り組みに対するビジョンを共有することの重要性がわかりました。
当初はプロジェクトの意義や自身のミッションについて不安視する声がコアメンバーの間で 上がっていて、事務局からの仕掛けやビジョンを統一するためのステップを踏むことが必要だと痛感しました。他には、参加者たちの中で、取り組みに 対して意欲の高い層・低い層の差が 二極化されたという変化がありました。意識の高い層に対してはさらなる行動 を促す機会の提供を行い、関わり合いに消極的な層に対してはコミュニケーションを促すような機会の提供を行うことで、さらなる底上げが可能になると考えています。
参加者の声は、総じて好意的な反応でした。質問力が向上することでスキルアップにつながるとか、今まで思い込みで業務していたことに気づいた、AL コーチの重要性がわかったなど、さまざまな感想が寄せられています。反面、行動計画までフォローされなかった ことを不満とする声もありました。プロジェクトは参加者以外にも影響が波及し、通常の会話でも「質問会議」の話 が出るなど情報の共有も進んでいます。

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