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日本アクションラーニング協会情報

クリティカル・シンキングで思考の枠組みを外す方法【書籍『対話流』切り抜き】

この記事は、書籍:対話流をもとに記事を再構築した切り抜き記事です。

清宮 普美代 (著), 北川 達夫 (著)

“正解”のない変革の時代。対話的思考で学び合う力こそ、ビジネスと教育の現場を貫く「生きる力」。
対話的発想を根幹に据えて、ビジネスと教育の現場を結ぶ「学習・コミュニケーション環境」を創出する。

現場で学ぶ

前回は「協働学習」と呼ばれる学習スタイルを紹介しながら、私たちの働き方に訪れている重要な変化について確認しました。
グローバル化が進み、今までの自分の成功体験がそのまま活かせないことが前提となった今。
私たちに求められている能力は、自分のもっている価値基準と違う価値基準を持っている人たちと協働して、創造的に問題解決をする力であると言えるでしょう。
しかし、実際にそのような力を養うためには、どうすればいいのでしょう?

一昔前は、MBAを始めとした座学によるリーダー育成が主流でした。
しかし時代が変わると、より日常に近い場所、すなわち職場での実践を通して学んでいくことが重視されるようになります。
では、「実践を通して学ぶ」といっても、具体的に何を学べば良いのでしょうか?

「思考の枠組み」は、なかなか外せない

情報が溢れ、多様な価値観が交差し、1日単位で世界が動く社会。
そのような環境で働くためには、自分のフレームワーク(思考の枠組み)を問いながら、新しいものを生み出していくことが求められます。

しかし、「思考の枠組みを問う」と一言で言っても、それは簡単なことではありません。
機械のように、思考の枠を文字通り取り外してしまえれば楽なのですが、実際には、私たちは無意識のうちに自分の考えに固執してしまったり、過去の成功体験から生まれた自分なりの「答え」に頼ってしまいます。
重要だと分かっていても、いざ実践しようとすると、なかなかできないのです。

そのような状況を突破する鍵となるのが、今回のテーマである「クリティカル・シンキング」「リフレクション」です。(お待たせしました。ここからが本題です!)

第一の鍵「クリティカル・シンキング」

一つ目の「クリティカル・シンキング」は、「クリティカル」という言葉のイメージから、批判的でネガティブなイメージに取られることもあります。
もちろん相手を批判するという意味ではあるのですが、「相手を論破して攻撃する」というような狭い意味ではなく、「自分を絶対に正しい存在とは考えず、自分と相手を同等に評価の対象とする」というような広い意味で、この言葉を使うこともあります。
すなわち、ここでいうクリティカルとは、攻撃とは無縁の建設的なクリティカルを指します。

この「クリティカル・シンキング」を思考の枠組みを外すのに使う方法としては、まさに質問がうってつけです。
というのも、質問によって、相手の思考の枠組みを知る手がかりを見つけられるからです。

思考の枠組みは、各々の価値観と直結しています。そのため、自分にとっては非論理的であると感じられても、相手の思考の枠組みでは論理的な考えである可能性が大いにあるのです。
このような隔たりを埋めるためには、意見が異なる相手を「非論理的だ」と決めつけてかかるのではなく、まずは「なぜそう思うのですか?」と質問することで、相手の思考の枠組みに近づくことが必要になります。

このように、具体的な問いかけを通して質問型のコミュニケーションを取ると、相手の思考の枠組みが理解できたり、それによって煮詰まっている状況を突破しやすくなります

クリティカルな姿勢で「聞く」

また、クリティカル・シンキングは議論をするときだけではなく、相手の話を「聞く」場面でも有効です。

例えば、自分は相手の意見を理解していると思っていたけれど、いざ聞き返すと「あれっ、違うの?」ということは意外と多いですよね。
それは、私たちが無意識のうちに自分の思考の枠組みを前提として、相手の話を聞いてしまっているからです。

実際に、ある小学校では班ごとの話し合いや学級会において、「いまの意見は◯◯ということですか?」と質問することをルールにしているそうです。
大人の議論でも「相手の話をよく聞かないで、勝手に誤解して喧嘩になることが多い」ことが実情でしょう。実は、議論で感情的になっている人は、自分が批判されたことに怒っているというよりは、自分の意見が正しく理解されないまま批判されたことに怒っていることが多いのです。

まず相手の言い分を聞き、そして質問する。ちょっとしたことですが、このちょっとしたことだけで無用な闘いを避け、話し合いを建設的なものにすることができます。

まとめ:クリティカル・シンキングとは?

ここまで、思考の枠組みを問うための第一の鍵となる「クリティカル・シンキング」について紹介しました。

クリティカル・シンキングとは、相手の意見をそのまま受け入れるのではなく、かつ自分と相手を同等に評価の対象とする思考です。ここでは、特に後者の「自分と相手を同等に評価の対象とする」ということが重要です。クリティカル・シンキングをうまく建設的な議論に用いるためには、攻撃的な批判ではなく、質問型のコミュニケーションが有効であることを解説してきました。

次回は、第二の鍵である「リフレクション」と、今回紹介したクリティカル・シンキングとともに、これらの思考法を私たちの働き方にどのように活かしていけるのか見ていきます。

清宮 普美代(せいみや ふみよ)
日本アクションラーニング協会 代表理事

大学卒業後、(株)毎日コミュニケーションズにて事業企画や人事調査等に携わる。数々の新規プロジェクトに従事後、渡米。米国の首都ワシントンDCに位置するジョージワシントン大学大学院マイケル・J・マーコード教授の指導の下、日本組織へのアクションラーニング(AL)導入についての調査や研究を重ねる。外資系金融機関の人事責任者を経て、(株)ラーニングデザインセンターを設立。2006年にNPO法人日本アクションラーニング協会を設立し、国内唯一となるALコーチ養成講座を開始。600名強(2019年1月現在)のALコーチを国内に輩出している。また、主に管理職研修、リーダーシップ開発研修として国内大手企業に導入を行い企業内人材育成を支援。アクションラーニングの理解促進、普及活動を展開中
株式会社ラーニングデザインセンター
東京女子大学文理学部心理学科卒
ジョージワシントン大学大学院人材開発学修士(MAinHRD)取得。
マスターアクションラーニングコーチ(MALC)