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日本アクションラーニング協会情報

質問力がもたらす問題解決の効果

この記事は、書籍:「質問力」のつくり方をもとに記事を再構築した切り抜き記事です。

清宮 普美代 (著)

現在のビジネスシーンでは、昨日までの正解が明日には不正解になります。
このように「正解」がどんどん変化している時代では、たくさんの正解を知っているよりも、「考える力」をもっていることが重要です。
その力のスイッチを押すのが「質問」です。そして、効果的な質問をつくれるかどうか、つまり「質問力があるかどうか」が、これからのビジネスパーソンには求められているのです。

問題解決にも質問を

これまでの記事では、質問の仕方を中心にお話してきましたが、質問による効果を実感したことはあるでしょうか。実は、問題解決においても質問は効果的です。
問題解決には、「なぜ○○なんだろう?」などの問いかけが重要となってきます。この問いかけと、既に持っている知識が合わさることで新しい発見やアイデアが生まれ、問題解決に繋がります。
たとえば、ニュートンも「リンゴが落ちた」と感じるだけでなく、「なぜリンゴが落ちてきたのだろう?」と自身に問いかけたからこそ万有引力の法則を発見しました。

2種類のリフレクション

先ほどのような「なぜ?」の質問をすることは、新しい情報と既に持っている知識が結びつけられ「リフレクション(振り返り)」を起こしているのです。
リフレクションには、大きく分けて2つの種類があります。

1つ目は、シングルループ学習

これは、単純な因果関係だけを理解するものです。

2つ目は、ダブルループ学習

こちらは、因果関係が生まれた背景までも理解するリフレクションです。
シングルループ学習では、一時的な問題解決はできますが、背景まで考えて解決へ導くダブルループ学習の方が本質的な問題解決へと繋がります。
たとえば、プロジェクトに遅れが生じていたとします。「なぜ遅れている?」と考えた結果、Aさんの作業が滞っていることが原因だと分かりました。ここでAさんに「早く仕事を完了してください」と促すのは、シンプルな因果関係を解決しただけですよね。
しかし、「なぜAさんの仕事は遅れたのか?」「そもそもプロジェクトが遅れるのはどうしていけないのか?」という一段上の問いかけが出来れば問題の背景が見え、より本質的な問題解決に繋がります。
このような問題の本質を探る質問をするには、「仕事が遅れたAさんが責任をとるべきだ」などの思い込みをしないことも重要です。

問題は複雑に絡まり合っている

ここまで、「問題解決」という言葉がたくさん出てきましたが、問題解決というと、問題の要因をモレなく分析し、筋道を立てて1つずつ解消していくといったロジカルシンキングなどの手法を使っている方もいるのではないでしょうか。
しかし、現代のビジネスシーンにおける問題は、さまざまな要因が複雑に絡まり合っています。そのため、問題を分解して要因の1つを解決しても今度は違う問題が生じてしまったという経験はありませんか?
今回は、質問を活用したシステムシンキング的なアプローチをここで紹介したいと思います。
先ほどのダブルループ学習のお話でも、背景までを理解することが重要とお話しましたが、組織や事象を有機的に繋がっているシステムとして考え、問題もその一部と考えてみましょう。

質問をつないでいく

質問を投げかけて繋げることによって、物事の繋がりを多面的に把握すれば全体をとらえることができます。

たとえば、「プロジェクトが進まない」という問題で考えてみましょう
Aさん「なぜプロジェクトが進まない?」
Bさん「自分しかやる人がいない」
Cさん「どうしてあなたしかできない?」
Bさん「部下の必要能力不足」
Aさん「なぜ部下はできない?」
Bさん「業務が忙しい」

といったように質問を繰り返していきます。
すると、1つの問題は1つの要因によって引き起こされているのではなく、複数の要因が絡んでいることが見えてきます。
このとき、「能力不足なのではないか」から「コミュニケーション不足が要因かもしれない」とテーマや議題が変わることもありますが問題ありません。
なお、複数のメンバーで質問し合う方が多様な視点を提供し合うためよりリフレクションが起こりやすくなります。

納得感のある問題を見つけて解決へ

質問を繋げていくと、問題の要因は複数あるように思えてきますが、そのうちメンバーの多くが「「これはたしかに問題かもしれない」」と声を上げたくなるような要因を発見できます。
アクションラーニングを体験したことがある方ならこの経験をしたことがあるのではないでしょうか。
みんなが納得感を抱けば、それは解決すべき要因ですよね。直感的に「要因はこれに違いない」と納得すれば、問題解決への取り組みも積極的になります。
そして、複雑にリンクしていた問題でも1つの要因を解決すると連鎖的に他の要因が解決されていくこともあります。

解決策の前に問題の設定を

このように問題解決のために質問を続けることも重要ですが、最初のテーマ設定も重要となっています。
問題を解決したいがためにテーマを「解決策」に設定するのはよくあるパターンです。
たとえば、「どうやってヒット商品を生み出すのか」が問題なのにも関わらず、テーマ設定した人の頭の中で「ヒット商品を生み出すためにはマーケティング必要」と考えられ、「どのようなマーケティング戦略をたてればよいか」と解決策へ先回りしたテーマ設定になってしまうことがあります。
これは、テーマ設定した人が勝手に「マーケティング力がない」と思い込んでいるだけで、別のメンバーは「そもそも商品力がない」と考えているかもしれません。
このままでは、話もかみ合わず、結論が出たとしても全員が腑に落ちることは難しいでしょう。そのため、「どうやってヒット商品を生み出すのか」という問題をそのまま共有し、メンバーで質問しあうことで問題の本質を深めていく方が問題解決へ近づきやすくなります。

次回は問題解決に効果的な質問についてまとめていきたいと思います。

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