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質問会議が切り拓く新時代のリーダーシップとチーム活性化の秘訣

この記事は、書籍:「質問会議」のつくり方をもとに記事を再構築した切り抜き記事です。

清宮 普美代 (著)

トヨタ自動車、NEC、富士ゼロックスなどで続々導入、意見を言ってはいけない不思議な会議。今この会議が驚きの成果をあげている。投げかけられた質問が、他人の思考のスイッチを入れ、連鎖し、スパークする。思考が共鳴し合い、「チーム脳」が働きだす。

質問会議とは?

「今日の会議は、自発的に意見を言うことは禁止です。誰かが質問して、それに答えるという方法で議論を進めます。」
そんな会議をあなたは想像できるでしょうか。
初めてこの説明をされても、会議が成立しないと感じる方の方が多いと思われます。
そんな「質問会議」について今回はお話していきます。
この記事での最大のテーマは、『なぜ質問だけの会議で生産性が上がるのか』です。
実際に企業でも採用されている手法のため、ぜひ、「自分の問題に対してはどう効果的なのか」という問いに答えるつもりで読み進めてみてください。

質問会議が生み出すもの

では、質問だけで進める質問会議は、何を生み出すのでしょうか。
それは、チームを活性化する場です。
質問中心でのやりとりをすることで、チーム全体が気づきを得るきっかけとなり、最初とはまったく異なるより本質的な問題がメンバー間で認識されます。
また、何度もセッションを繰り返すことでメンバーの中で信頼と親密さが増していきます。質問会議を行うなかでそれぞれの考え方などが理解できるようになるのです。そして、問題に対してみんなが自分のことのように取り組むため、チームを活性化する場にもなり得ます。

失われたチームの「場」

あなたが所属しているチームには、チームを活性化させる場はあるでしょうか。

例えば
・組織目標はあっても現場に浸透していない
・忙しすぎて若手の教育が進まない
・サポートし合う意識が低い
こういった場は、チームが活性化していない状況です。

さらに、IT化や近年のコロナ禍によって社内コミュニケーションの質や量も大きく変わっています。
対面コミュニケーションの方がメールなどに比べて多くの情報を伝達できますが、「まずはメール」が主流になっていますよね。
つまり、時代とともに仕事の基盤になる場の生成が減少してしまっているのです。

かつての終身雇用や年功序列が当たりまえの時代は、仕事に対する価値観もほぼ同じだったでしょうし、おせっかいな先輩たちが後輩をサポートしていたと思われます。そのおかげで、チーム力がアップする“場”が自然とつくられていました。
しかし、現代では、人材は流動化し、業績・成果主義が取り入れられたことで、なんとなくうまくいっていたチームがなくなってしまったのです。
働き方や働くことへの価値観が多様化した結果、自分の仕事はきっちりこなすものの、部長や課長に出世したいと思う人は減ったのではないでしょうか。
このように個人的意識で仕事をする人が集まっているだけではチームと言えませんよね。
しかし、組織には、個人レベルでは解決しない問題が沢山存在するため、意識的に“チームが活性化する場”をつくる必要がでてきました。
この失われたチームの場を機能させられれば、組織としての力が上がり生産性を上げられます。

個々人ではなく、チーム力

では、チームが機能する場をつくるにはどうしたらいいのでしょうか。
組織の能力アップをはかるため個々人へのコーチングの手法を取り入れている企業も多いでしょう。
しかし、この方法はすごく時間をとられますよね。
個人の能力で一時的に成果を上げることは可能ですが、長いスパンで見れば“チーム力”が生産性の基本になります。
質問会議では、メンバー同士で質問し合うため、上司が個別に対峙しなくとも、チームが自律的に機能して個別のコーチングと同じ効果をもたらします。

新しい時代のリーダーシップとは

ここまで、チームを活性化する場の必要性についてお話してきましたが、その中でのリーダーシップにおいても変化が見られます。
社会が多様化している現代では、従来型の指示をするだけのリーダーシップではチームが機能しなくなっています。
例えば、ビデオやカセットテープなど時代とともに不要になったものがありますよね。昨日までの主力商品が次の日からは全く売れなくなるケースです。
こうしたケースでは、過去の経験で培ったノウハウは通用せず、上司の指示・命令だけではマネジメントすることができません。何かアドバイスしようにも体験したことのない問題に遭遇しているのです。
つまり、時代の変化にともなって新しいリーダーシップが求められています。
いま必要なリーダーシップとは、「解決策をチームメンバーから引き出すことのできる力」です。
リーダー自らが答えをもたなくとも、現場のメンバーが答えを発見できるような“場や雰囲気”を作り出す必要があります。
そこで効果的なのが質問会議です。
質問会議は、場をつくり、場をマネジメントするリーダーを実践的に育てることができます。つまり、チームメンバーが自分たちで答えを見出せるよう“促す“ことのできるリーダーの育成です。

具体的な質問会議の流れや効果については、また次回以降お話していきます。

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