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日本アクションラーニング協会情報

効果的なチームビルディングと問題解決のプロセス

この記事は、書籍:「質問会議」のつくり方をもとに記事を再構築した切り抜き記事です。

清宮 普美代 (著)

トヨタ自動車、NEC、富士ゼロックスなどで続々導入、意見を言ってはいけない不思議な会議。今この会議が驚きの成果をあげている。投げかけられた質問が、他人の思考のスイッチを入れ、連鎖し、スパークする。思考が共鳴し合い、「チーム脳」が働きだす。

本記事を読まれている方は既に体験したことがあるかもしれませんが…
今回は質問会議の流れについてお話していきます。

質問会議のセッションは集中力を保てるように1回1時間ほどで行います。
その中には12のステップがあるので時系列順に確認していきましょう。

〇ALコーチと問題提示者の設定
セッションを始める前にまずは役割を決めます。

1つ目の役割は、ALコーチです。
トレーニングを受けている人、もしくはチームリーダーがこの役割を行います。
ALコーチは質問会議をスタートさせ、終了させるなどファシリテーターとしての重要な役割を担います。

2つ目の役割は、問題提示者です。
問題提示者は自身が抱えている問題をチームに提示する役割です。この「問題」はチームの問題として設定されるので、問題提示者はオープンに情報提供することが求められます。

役割を持った2人のメンバーを含めて質問会議は4~8人で行います。
質問を引き出す時間も必要なため、この人数設定も重要なポイントです。
また、幅広い議論をするためにメンバー構成は組織上の役割の異なる人達で組むのが理想です。

1. 2つの基本ルールの確認

ここからはALコーチが進行していきます。
最初に「質問中心」「振り返り=ALコーチはいつでも介入できる」という2つの基本ルールを確認します。

質問会議では、全員が質問するのがルールです。「質問」と「返答」というスタイルでコミュニケーションをとっていきます。
また、ALコーチにはいつでも質問によって介入できる絶対の権限があります。介入をして振り返りの時間をとることでチームメンバーの学習を習慣化します。

2. チーム規範の設定

続いてチームの規範を設定します。
基本となる規範には以下の6つがあげられますが、修正や追加は自由です。
守秘義務
セッションへのコミットメント
共有とサポート
平等と尊重
傾聴と振り返り
課題そのものに注意を向ける
立場の違うメンバーが集まっていても、これらの規範を意識することで全員が安心してセッションに参加できます。

3. 問題の提示

ルールと規範の確認を終えたら、問題提示者が2.3分で簡潔に問題について説明します。
問題提示のポイントとしては、目の前に起きている問題を扱うことです。重要度が高い問題であれば、真剣に考えるようになり、学習効果も生まれやすいです。
また、手の届かない次元の問題は思考もストップしてしまうため、主語が「会社の」や「経営の」ではなく、問題提示者自身が抱える問題であることも求められます。

4. 質問で問題を明確に

ここからいよいよ質問が始まります。
最初の問題提示の説明が不十分であっても、メンバーからの質問に答える形で情報を補完し問題を明らかにしていく仕組みになっています。
ここでの注意点は、尋問にならないようすることです。
チームとして問題の本質を明らかにし、問題解決をはかる。そのために質問するという意識をもって質問してみてください。

5. 途中の振り返り=新しい視点でのアプローチ

質問をしていくなかで、しばらくたった頃にALコーチが介入し「チームの雰囲気はどうか」「自由に質問できているか」などの振り返りを促します。

これによって場が一度クールダウンします。
その結果として、問題解決に対する新たな視点が出やすくなったり、この先どのようなセッションを心がけるべきかという意識統一がはかられます。
また、この介入により、チームに本音が出ることでチーム内のコミュニケーションが活性化されます。

6. 問題を再定義する

問題を明確にする質問がある程度出たら、メンバーそれぞれが「本当の問題は何か」を書き出し発表します。

多様なメンバーから再定義を出すことで、真の問題を浮き彫りにする仕組みとなっています。
全員の再定義を聞いたら問題提示者がチームとしての「問題の再定義」を発表し、ALコーチがメンバーに問題提示者の再定義について同意できるかできないかを聞きます。

7. 同意できないことの意味

再定義に同意できないメンバーが1人でもいたら、引き続き問題を明確にする質問をします。

問題について違和感を持ちながら会議を進めることは、チームとしての信頼もできなくなります。
そのため、再定義に同意できないことは悪いことではなく、むしろ、チームをつくっていく上でも重要なステップになります。

8. 問題がテーブルの真ん中に

質問を続けた結果、問題提示者の再定義に全員が同意することが出来れば問題がテーブルの真ん中に来たことになります。つまり、「問題」が問題提示者だけのものではなく、チームメンバー全員のものと認識されたということです。

9. 目標・ゴール設定

再定義によって真の問題が明確になったら次はゴール設定を行います。問題提示者が「どういった形がゴールか?」を明確にしてメンバー全員で共有します。

10. 行動計画の作成

セッションの前半が「問題は何か」という掘り下げのステージだとすればここからは問題解決のステージです。
「どうしたら問題は解決するか」「ゴールに到達するには」など“一緒に考えよう“という意識のもとに新たに質問を開始します。
最終的な行動計画は「何を」「いつ」「どこで」というように測定可能なものを考えます。たとえ小さな一歩でも、必ず行える行動計画を設定します。

11. 全員の行動=サポートを誘発する

問題提示者が行動計画を発表したら、メンバーは協力できること、サポートできることを発表します。アドバイスではなく、自分が当事者としてサポートすることが重要です。

12. 振り返り

最後に5~10分程度の時間を必ずとってセッション全体の振り返りを行います。
通常の会議で振り返りを行うことはないでしょう。
しかし、質問会議は「問題解決」と「個人・チームの成長」の2つを達成するためのものです。そのため、個人とチームの成長のため「よかった質問」「うまくいった箇所」などをALコーチからメンバーに聞いていきます。

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