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質問会議がもたらす効果:チームの成長と生産性向上を実現する5つのポイント

この記事は、書籍:「質問会議」のつくり方をもとに記事を再構築した切り抜き記事です。

清宮 普美代 (著)

トヨタ自動車、NEC、富士ゼロックスなどで続々導入、意見を言ってはいけない不思議な会議。今この会議が驚きの成果をあげている。投げかけられた質問が、他人の思考のスイッチを入れ、連鎖し、スパークする。思考が共鳴し合い、「チーム脳」が働きだす。

意見を出し合う会議の場合

前回までの記事では質問会議の流れをみてきましたが、普段の会議との違いはなんでしょうか?
前回の記事と同じ議題で、意見を出し合う会議をみてみましょう。

赤木:私は法人顧客向けに営業をしています。3か月前に営業課を任され、部下が2名ついています。営業しながらマネジメントをしていますが、チームの業績が上がらず予算を達成するうえで問題になっているのが問題。

黒田:根本的にチームが機能していないということですね
事業部門には業界別のリストがそろっているはずでは?私も以前その顧客データを利用して新規案件に繋がったことがある。まずはそこから当たるのは?

赤木:そうですね(あまり納得していないがなんとなく返事をする)。ただ現段階で新たなリストと言われても…

青山:それなら潜在顧客を対象にしたセミナー企画は?結構有効なリストもでき、その後のアプローチも部下は楽なのでは?

千葉:私は営業ではありませんが…
短時間でも彼らの進捗状況を報告させる機会をもつのが良いと思う

宮崎:うちの新人にはすべての営業に同行させて覚えさせるようにしています。電話もどんどんかけさせます。うちはそれで部門トップの数字を挙げています

赤木:とにかく部下を動かして業績を上げていきたいと思います。皆さんありがとうございます。
(一同満足気に微笑んでいる。しかし、赤木の表情は浮かない)

この会議を見てどう感じたでしょうか。
既に質問会議の理解が深まっている人には、意見会議が不自然に感じられたかもしれません。質問会議に慣れてくると「もっと質問をしてメンバーの脳を働かせればいいのに」「自分の脳だけ使って意見を述べても…」と会議の非生産性に気づくようになります。

もちろん、それぞれの意見は決して間違ってはいないため意見を出し合う会議でも問題提示者の役に立つこともあるでしょう。しかし、上の例では、問題を断定し、1人ひとりが自分の解決策を提示していたことにより、問題提示者の納得を得られていません。そのため問題解決のための行動が実際に行われるかも不明な状況です。
このスタイルでは個人もチームも成長することは難しそうですよね。

問題の解決とチームの成長

先ほどのような意見を出す会議でも「チームのために自分の有益な解決策を!」と考えている人はいるでしょう。
しかし、雇用が多様化し、組織内のメンバーが入れ替わる可能性が高い現在の状況下では1人の脳力に依存するのは非常に危険です。メンバーが抜けても継続的に能力を発揮するチームにするためには皆で脳をフル活用して、多様な視点から問題を考え思考する必要があります。
つまり、解決策は与えるのではなく、解決の糸口を引き出せるようになることが大切ということです。
1人の能力に依存し問題を解決するよりも、チームや個人の成長についても考えることで結果的に生産性の上がるチーム作りとなるのです。

質問会議の5つのポイント

ここまでのお話で質問会議によってチームの生産性が上がるイメージはついたでしょうか?
質問会議が生産性を上げる5つの理由についてお話していきます。

1.問題を真ん中におく=問題の共有化

「誰が悪いか」に注目してしまうと責任が及ぶことを恐れ、問題を隠したくなりますよね。
しかし、質問会議では、「私たちの問題」として真ん中に問題をおくことでチームが一緒に考え解決しようと試みるようになります。

2.上質なコミュニケーション=違和感が出る

質問会議では、問題の再定義に対して同意・不同意の確認をしたり、チーム内の変な感じや雰囲気についてALコーチが介入をするなど、違和感を場に出すことが求められます。違和感を場に出すことができると、本音ベースでの上質なコミュニケーションがはかられます。その結果、信頼と絆が生まれ、チームの活力が増していきます。

3.関係の質の向上に焦点を当てる

一般的に関係の質・思考の質・行動の質・結果の質という4つの質のうち、行動と結果の質に注目し生産性の高いチームをつくりますが、行動パターンだけを上司に教わって本当に質の高い行動ができるでしょうか?
考え方の理解をしてこそ行動の質は高まります。
そのため、質問会議では「関係の質」と「チームとしての思考の質」にこだわります。
質問会議という手法で安心できるコミュニケーションの場が成り立てば、多様な視点やサポートし合うようなチームとしての思考が高まり、そして、良い結果を生み、チームの関係性は向上していきます。

4.行動の誘発

意見を出し合う会議の例では、問題提示者が解決策に納得しておらず、行動を起こすか不明でした。しかし、質問会議のステップでは最後に必ず行動計画を立てます。
生産性をあげるためには、会議で良い解決策を見つけ出すだけでは意味がありません。解決策を見つけ出し、それに納得し行動する必要があります。
具体的な行動計画をチームで共有し、次回の会議できちんとフォローしていくことで行動と結果の質を上げることに繋がります。

5.リーダーシップを開発する

質問会議では、支援型のリーダーを育成する仕組みも内包しています。
ALコーチは、リーダーとして指示・命令型のような解決策を提案するのではなく、メンバー自身が考え行動するように促します。そのため、質問会議を重ねていくとチームとして問題解決策を見つけ、行動できるようになり、リーダーがいなくともチームが機能し続ける自立型チームとなります。

これらの5つのポイントが質問会議によって作用することで、チームとして思考し行動するようになり、チームの生産性が上がるということです。

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