ALコーチの横顔 オーセンティックワークス株式会社 代表 中土井 僚さん
ALC取得者は年々増加し続け、ついに500名を突破!みなさんそれぞれのフィールドでご活用いただいております。
中でも、個性的なALCにフォーカスし、どんな思いや考えをもってALに向き合っているか、語っていただきます
ALC取得後は ALが使いにくいと思っていた
アクションラーニング(以下AL)の セッションはとてもパワフルだと思っています。
ALを勉強してからかなりの年月が経過しましたが、最近またALセッションをコンサルティングの中で使うようになりました。
アクションラーニング コーチ(以下ALC)資格取得当時はコントロール思考がとても強かったので、参加者を思うとおりに矯正したかったし、 他人のせいばかりにしている人たちを成敗したいくらいの気持ちでセッションに臨んでいました(笑)
「まだ再定義で きてないのか」くらいに思っていたので、セッション中の表情もすごく怖かったんじゃないかなと思います(笑)
参加者 が上手く質問が出来ずフラストレーションが高くなりやすいやり方はやりたくな いなと思っていた時期もありました。
しかし、今は以前よりも問題を抱えている人たちに寄り添う気持ちでセッションに参加できるようになり、ALCとして の自分のあり方が変化したことで、AL が使いやすくなったと感じます。
緊急かつ重要な問題を、勇気を持って提示してくださるのもシンプルに素晴らしいと思えますし、その問題提示者がその問題 によって生じるフラストレーションで苦 しんでいるということも想像できるよう になりました。
その結果、問題から逃げずに立ち向かっている人の力になれればという素直な気持ちでセッションに向き合えるようになりました。
ALの本質は質問力と内省力の向上
セッションではフラストレーションが 溜まったことが何度もあります。なぜか というと、メンバーの質問レベルが低いと質問がすべて尋問、詰問に成ってしまうからです。
限られた回数・時間の中で最大限効果を発揮することが望まれているコンサルティングという業務の中で、質問者のパフォーマンスによって セッションの結果が変わってしまうこと があるので、ALが少し扱いにくいと感じ ていました。
質問者の質問力は、その会社の組織力を如実に表しているなと良く思います。
たとえば、大手企業の役員レベルの方々の対話の場においては、出てきた問題が5-10年ずっと抱えているものであるということも少なくありません。
同じ 問題を抱え続けているというとは内省力に欠けるということです。
内省力がないと、無自覚に同じ失敗を繰り返してしまいますし、それが組織の中で起こると組織力を弱めてしまう原因にもなります。
内省力を高めるには質問力を上げる ことが必要ですし、質問力を上げるには内省力を高める必要があります。
両者は 相互関係にありますので、自分がALC の役割ながら質問者としても加わり、質問力を上げることによって、参加者のパ フォーマンスを上げ、自分もシステムの一部と感じてもらえるよう、短い時間で 効果を上げられるよう、努めたりする場 合もあります。
セッションの本質は質問力や内省力を高めることですが、フラストレーショ ンのたまるセッションだと、その本質に近づくことはできません。
内省力・質問力が上がらないと、組織力が上がらないという認識がもっと一般化していけば、セッションの中で起こるフラストレーションが必然のもので、質問力や内省力が鍛えられている瞬間だとだとわかってもらえると思うんです。
内省力と質問力の相互依存によって組織力が向上するという意識が広まらない限り、日本企業の組織力は上がらないのではないか?と考えています。
ALを自分の言葉で語れるように なることがポイント
ALのセッションの素晴らしい点は、これまで無自覚に他人のせいにしていたものが、自分が変わらないと問題が何も 変わらないということに気がつける、当事者意識が高まる、自分ごとと捉えられるという変換が起こることだと思います。
私が行うコンサルティングの中では、 セッションを初回からやることはまずありません。
参加者の方が研修に参加する意味、意義を納得した上でセッションを行っています。 10年間格闘したのはALの効果と相手から求められる経済合理性について、どう折り合いをつけていくかです。
誠実に言葉を尽くしていくほかないのですが、最近では行動探求(アクション インクアリー)の理論を用いて説明する ことも多いです。手法に関する説明ではなく、「なぜ、ALで なくてはならないのか?」をお話しして納得してもらうこともあります。
ALCは、人が学習するとはどういうこ となのか、なぜ緊急かつ重要な問題か らしか成人は学べないのかなど、人が学ぶ、成長していく原理原則をお話しした上で、自分なりにALの有効性についてもっと研究するといいと思います。
『なぜこの手法なのか』ではなく『何がどのように作用して有効になりえているのか』を自分の言葉で語れれば語れるほど、ALに対する参加者の方へのハードルは下がるのではないかと思います。
今後の展望
自社のミーティングでもALは活用しています。
ALを使うことで、職位に関係なくマネージメントは社員がいったい何を悩んでいるのか分かるし、再定義も出来る。
ディスカッションの活性化を図 ることもできます。
ALセッションのステップ、流れについて、自己流のやり方を開発したりもしました(笑)。
人は自分の関心のあることからしか始められませんし、抽象的なことよりも具体的な悩みの方が耳を傾けやすかったりするんです。
なので、この流れをもとに今もファシリテーションをするようにしています。『意識や行動は どうやって変わるのか』ということがあまりにもブラックボックスで苦労している方をたくさん見ているので、自分なり に実践していく中で見えてきたものはたくさんの方にシェアしたいと考えています。
イノベーションとリフレクションは関係 性が深いという話は、もっと知られてもいいかもしないと思っています。
何か常識を広げていくという観点から、U理論とアクションラーニングの本質を考え直していく、という活動が出来ればと思っています。