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日本アクションラーニング協会情報

学習の「質」とは?~学習にはどのような構造化が必要か~②

Learning Base 02 #02  人の成長を生み出すダブルループ学習

U理論×アクションラーニング

「本来的にやるべきもの」を見つけるプロセスにアクションラーニングを使う

実際のプログラムとして展開するときには、部長のような2次マネジメントをする方に研修という形で導入させていただくケースがほとんどです。ある期間継続するプログラムとしての展開になります。“Can””Will””Shoud“というプログラムの流れの取り組みのなかで、最初のCanとかWillで、メンバー間の関係性の整備とか、パーソナルビジョンとか、メンタルモデルを見つけていくというプロセスを一緒にやっているので、心理的安全性が高まってるんですよね。心理的安全性が高まってるところから役職者としてのすべきことは何なんだっていうことを見つけ出すプロセスとしてこのアクションラーニングを実施しています。ずっとその一貫して、テーマのひとつとしてあげているのが、ダブルループ学習です。プログラムを幾度にもわたって提供させていただいてきている中で、わかってきたのは自分自身の過去の経験や、自分の思考パターンなどを丁寧に理解を進めた後で、アクションラーニングセッションを通して現場の生の問題を扱うと、「自分は本当にこういうパターンを繰り返している」と理解が深まり、ものすごく腹落ちするみたいなんです。その結果、弊社でお手伝いさせて頂いた企業ではアクションラーニングやりたいという組織も多いですね。

■清宮コメント
いままで言っていることは、自己変容を促進する場づくりだといえます。ダブルループ学習、メタ認知という言葉にあらわされているのは、「認知が変わる」ということで、認知が変わると行動もかわる。人が変わるということでもあります。

アクションラーニングは、そういう意味で自己変容を促進する場が設定されていると思います。その意味で、とても気を付けているのが、心理的安全性を担保するということです。そうでないと(私のALコーチのやり方もあると思いますが)防御的になりすぎでしまうというか。なので、心理的安全が鍵だと思います。

■清宮コメント
私も体験としてあるのは、オフサイトなどの機会で、同じ立場で一緒には仕事してない部長さん達を集めて、まるまる1日セッションを行うというようなことをする。そうすると、自己変容の場がつくりやすいということはあります。合宿研修の最後に入れて、セッション自体は1日のプログラムです。5人に一人、アクションラーニングコーチがつくので、プログラムはとても高級ですが、密な自己省察(リフレクション)をする場になります。同じ立場で5人集め、オフサイト的な環境で、全く違う外部の人がアクションラーニングコーチとして、来てて雰囲気が違うっていうようなことをやると、その関係性の中で心理的安全的なものは保ちやすいなと思います。最近思うことは 自己省察というか認知が変わりやすいな、と思うのは、問いが自分に向いている時でなく、他の人が質問してその答えを聴いているという構造なんじゃないかと思っています。質問と答えを見てるほうが安全だから、ダブルループ学習も生み出しやすい気がします。そのなかで、相互理解や違うものの見方が促進され共感もうまれやすくなっていく。関係が整備される。

「良かった」のはなぜか?

プログラムの中でもすごく大事にしているのが、KSF(キーサクセスファクター)を明確にすることです。皆さんやっぱり「良かった」という満足度にすごく引きずられやすいなと思っていて、何が良かったのか、何がどう作用してよかったのかを、問いかけています。何がよかったのか、の意味付けをきちんとしていないと、単に私の話が良かったみたいな話になったり、アクションラーニングというやり方がいいとかっていう話になりがちです。でも、その背景にあるのは、問題に対して集中して聴くということだったり、問いかけというアウトプットを強制されることで、集中力が高められているということだったりするんです。言語化できると、あー、そういうことだったのか、というAHA体験にもなります。

■清宮コメント
単に「良かった」というときに、じゃあ何が本質的に良かったか?と、問うと、「このメンバーで話せたのがよかった」みたいな現象面での話がでてくることが多いです。でも、なんでこのメンバーではなせるとよかったのか、というような深堀は、日本企業はあえてやってこなかったのかなと思うこともあります。逆に、深く考えるな、みたいな感じかもしれない。

結局、日本の組織では、やはり文脈にものすごく依存する。ツーカーだったり、阿吽の呼吸みたいなものに頼りすぎてしまってるがゆえに、やはり 事実と解釈をちゃんと切り分けること自体ができない。その部分の筋力が足りないと思います。

四行日記「事実・発見・教訓・宣言」

私が若いときに学ばせていただいて、本当に役にたったと思うものが「四行日記」です。これは、FFS理論を提唱された小林惠智博士が開発されたものですが、「事実・発見・教訓・宣言」という4行で日記を書くようになっています。その四行日記を使ったコーチを養成するプログラムに参加した時に、徹底的に小林先生にメール上でフィードバックいただきました。四行日記を書いておくると先生自らメール上でフィードバックされる。そして、「事実」に、解釈がちょっとでも入ったら、すごくフィードバック受けるというものでした。結局、事実に対して、反応的に解釈してるっていう事を切り分けていくってことを、丁寧におこなっていくことをすると、ものすごくモノの見方がかわっていくという話です。例えば、上司が自分にはメールをCCしてくれなかったって言うことでいえば、事実としては「上司はメールの cc に私を入れてなかった」が事実なんですけど、「してくれなかった」っていう風に言ってる時点で解釈が入っていて、犠牲者的なんですよね。それが単なる過去の枠組みから来た感想に引きずられていくって感じです。「事実」に対して、「発見」としてまず<意味づけ>を変え、それを「教訓」っていう形で過去のから学んだこととし、「宣言」という形で未来に持っていく。すごくよくできていて、その「事実・発見・教訓・宣言」が自分の中で習慣化したことで、物事に対しての学習力がめちゃめちゃ高まりました。


■清宮コメント
アクションラーニングコーチのトレーニングでも、コンテンツとプロセスを分けるということがあって、文脈のなかで混然一体となっているものを切り分けるということにも通じるかもしれない。でも、この事実と解釈を分けるというのは、若い時からトレーニングすべきこと。このようなトレーニングが、メタ認知力をあげていくことにもなるし、感情を適切に取り扱うことにもつながる。つまりは、振り返りの力をつけますね。

揺らぎの時代の中で、私たちがおこないたいこと

とても大きなゆらぎの時代だと思うんです。成人発達理論の巨人の一人である、ロバートキーガン先生は、ひとの成長を「さなぎが蝶になるようなもの」っていう比喩でよくおっしゃるんですね。これまでは、さなぎのまま生きていたとしても、特段問題はなかったし、ある意味、自分と向き合わなくても生きていけた時代なのだと思います。しかし今は、思い通りにいかない、にっちもさっちもいかない状況があるからこそ、痛みを伴いながらも、殻をでないといけない状態になっているのだと思います。それが「蝶」になるきかっけにできるのだとしたら、ある意味大切な時代を迎えているといえるのかもしれません。問題なのは、その痛みを伴う状況がその人のキャパシティを大幅に超えないかどうかです。その人のキャパシティを超えてしまって、レジリエンスがない状態になった場合、鬱などの非常に辛い体験をしすぎてしまう。そこに対しては、社会のセーフティネットとして作りたいという想いがあったりします。私自身は、そんな企業に強烈に寄り添っていくことだろうなと思っています。いま、リモートワークっていうことが余儀なくされて、しかもリモートワークが機能しないっていうことに対しての問題意識に対して、そこをきっかけに、何か提供出来ればなとは思ってます。

■清宮コメント
2000年にアクションラーニングにアメリカで出会って、その時に学習するっていうことは「これからの時代の労働である」って言われました。その学習という意味は、壮大にいうと人類のバージョンアップに関わる力だったり、個人と組織が健康で幸せ(WellBeing)でいられるための根本的な力だと思っています。よりよい社会として機能するためのキーファクターです。変化すること自体は楽しい、ということをみんなに伝えたいのかもしれません。

私にとっては、学習するプロセスは自分自分の根幹の命題ではないので、その視点が面白いです。清宮さんは、学習する事って楽しいよね、変化することに喜びがあるよね、ということを伝えたいという、ことなんですね。いま、この対話のなかででてきて、まさに、U理論でいうところのプレゼンシングな瞬間だと気がします。変化することを楽しいっていうように思う、そこには楽しさがあるんだってことを伝えていくエバンジェリスト、素敵ですよね。「この時代に学習が必要なんだ」って言われると、結構お腹いっぱいと言うか、変化を強いられてる感じで抵抗感も生まれるかもしれないけど、それは楽しいってことなんだっていう風に立ってみて、自分の人生の置かれてる状況を見てみようっていうのはいいと思う。その秘訣を知りたいと思う人がいるとおもいますね。

Learning Base 全体像はこちら https://peraichi.com/landing_pages/view/learningbase2020

スピーカープロフィール
中土井 僚

  • オーセンティックワークス株式会社代表取締役
  • 株式会社ミライバ 取締役
  • 社団法人プレゼンシング・インスティチュート・コミュニティジャパン理事
  • 特定非営利活動法人日本紛争予防センター理事

リーダーシッププロデューサー。「自分らしさとリーダーシップの統合と共創造(コ・クリエーション)の実現」をテーマに、マインドセット変革に主眼を置いたリーダーシップ開発及び組織開発支援を行う。
コーチング、グループファシリテーション、ワークショップリードなどの個人・チーム・組織の変容の手法を組み合わせ、経営者の意思決定支援、経営チームの一枚岩化、理念浸透、部門間対立の解消、新規事業の立上げなど人と組織にまつわる多種多様なテーマを手掛ける。
過去に携わったプロジェクトは、食品メーカーの理念再構築、業績低迷と風土悪化の悪循環が続いていた化粧品メーカーのV字回復、製造と販売が対立していた衣類メーカーの納期短縮など100社以上に及ぶ。
アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア)とその他2社を経て独立。2005年よりマサチューセッツ工科大学上級講師であるオットー・シャーマー博士の提唱するU理論における啓蒙と実績に携わり、現在に至る。
著書に「U理論入門」、「マンガでやさしくわかるU理論」、「U理論の基本と実践がよ~くわかる本」、共訳書に「U理論」、「出現する未来から導く」、監訳に「なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか」などがある。

清宮 普美代(せいみや ふみよ)

  • 日本アクションラーニング協会 代表
  • WIAL公認マスターALコーチ
  • 株式会社ラーニングデザインセンター代表
  • 株式会社YBT 代表
  • ODネットワークジャパン 理事

東京女子大学文理学部心理学科卒業後、株式会社毎日コミュニケーションズ入社(現:株式会社マイナビ)。Web就職情報などの新規事業の立ち上げや新雑誌創刊と社内システム構築など数々のプロジェクトに責任者として携わる。15年の勤務を経て、渡米。ジョージワシントン大学大学院にて、経営課題を共有化し解決しながら、リーダーと自律型チームを育成する開発手法「アクションラーニング」と出会い、研究を進め、人材開発修士号を取得。
2001年に帰国後、外資系金融機関にて人事責任者、社長室長を経て、2003 年4月に株式会社ラーニングデザインセンターを設立。2007年には国内唯一のアクションラーニング(AL) コーチ認定機関、NPO法人日本アクションラーニング協会を設立。代表を務める。2013 年1 月現在まで、約450 名のALコーチを輩出している。企業導入としては50社を超える導入実績がある。
現在は、AL コーチ、シニアAL コーチの育成や企業導入に対するコンサルティング、講師、講演など多数で活躍。2010年1月、全世界で9人しかいない、日本人としては初めての世界アクションラーニング機構(WIAL) 認定マスターアクションラーニングコーチに就任。翻訳著書に『実践アクションラーニング入門』(2004年 ダイヤモンド社) マイケルJ・マーコード著。著書に『質問会議』(2008年 PHP出版)『チーム脳のつくり方』(2009年 WAVE出版)『対話流』(2009年 三省堂)『20代で身につけたい質問力』(2011年 中経出版)などがある。