問題解決とチーム学習の組織開発手法であるアクションラーニングを活用した、経営幹部養成や管理職研修プログラムを提供しています。

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日本アクションラーニング協会情報

【レポート】デジタル×アクションラーニングセミナー②

■アクションラーニングとデジタルの融合・空間をつなぐ学習体験・デジタルサポートALコーチの役割

NPO法人日本アクションラーニング協会代表 清宮普美代

清宮:今回は、私たちにとって学びの場はどう変わるのか、デジタルとアクションラーニングというのはどんな変遷を辿っていくのか一緒に考えたいと思います。

 

 

そもそもアクションラーニングとは、グループで問題解決を行うと同時に、個人・組織の学習する力を養成する手法です。4-8人の小集団で1時間程度、問題解決を行うプロセスで、行動やリフレクションといったものを伴っています。コーチは話し合いのプロセスにおいて解決を促進する問いかけを、質問会議という特定のルールや進行に基づいて行い、皆はお互いに問題を明確にするような質問をしていきながら解決を目指します。アクションラーニングでは、目的である問題解決がなされるだけではなく、組織内のコミュニティが整理されて仲間同士の理解が深まったり、新たなチャレンジ行動が起こったりと、複合的な効果も生まれてきます。そのために、問題解決、人材開発の手法としてだけではなく、組織開発の手段としても研修に用いられています。

集合研修はコンテンツ提供でなく、組織開発アプローチに

これまで学びの場に多くあった集合研修、eラーニングと呼ばれてきたものは今後、どうなっていくのでしょうか。私の見解では、eラーニングは、個人のマイクロラーニングやソーシャルラーニングに融合していくと思います。集合研修は今後とてもハイコストなものになるので、どんな効果を狙うのかが重要で、集合研修は研修というより、組織開発アプローチの1つになると思います。コンテンツは最小限に抑えつつ、そこで出会った人同士、お互いの肌感を感じあいながら話をする、対面の効果を狙った組織開発のモジュールになると思います。つまりコンテンツを提供するだけの研修はなくなるということです。

学びは、実務課題解決型のアクションラーニングへ

集合研修はアクションラーニングになっていくと言われていますが、なぜなのでしょうか。これはDongshuo氏も言っていた通り、本当の学習は行動からしか生まれないと考えているからです。アメリカのある高校では、AI時代を生きる人材を育成するため、授業をPBL(プロジェクトベースドラーニング)で行なっています。複雑な課題に対し、生徒が少人数グループで自律的な問題解決、意志決定、情報探索などを行なって解決を目指す学習方法ですが、これは言いかればアクションラーニングのことです。例えば人類の歴史をコンテンツごとに1年で学ぼうとしたら、第二次世界大戦については2時間の授業で終わりにしなければいけません。しかも試験が終われば内容は忘れてしまいます。しかしプロジェクトベースで学んでいけば、調べた事柄、テーマに付随した事柄は覚えるんです。コンテンツ学習は自分一人で本を読んだりすればいいということです。

 

バーチャルALから進化する、デジタルALの可能性

アクションラーニングのデジタル化については、現段階ではプログラム設計の重要な点など、皆さんと一緒に考えていきたいというフェーズです。私の感覚では、バーチャルアクションラーニングとUMUによって実現可能なデジタルアクションラーニング(AL)は違うと思っています。例えばバーチャルアクションラーニング(AL)というのはこれまでも、集合研修をしながら、ネットワークを使って遠隔でも情報を交換するという形で実践してきました。しかしデジタルアクションラーニングは、対面の代替としてのテクノロジーではなく、テクノロジーがあるからこそ効果的に振り返りと実践ができる、という世界で、バーチャルアクションラーニングを包含していると思います。現場で実践するためには、Dongshuo氏が言っていた通り、AIのコーチングやインタラクティブ機能を使ったフィードバックを追加することが大事になってくるかもしれません。実際、受講者からはデジタルな学習環境の方が優れていることがあるという声も聞かれます。例えば、画面越しの対話は対面よりも比較的場が安全な感じがする、相手との関係がフラットに感じられるという意見や、画面上に自分自身も映るため、話の場をメタに認識しやすいという声があります。これは明らかに対面コミュニケーションとは違う効果が出てきていると言えるでしょう。アクションラーニングはテクノロジーとの掛け合わせで、さらなる効果が生み出せる可能性があると感じています。

 

 

写真:山本奈月

文:波多野あずさ

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