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【実施レポート】特別座談会 〜学生×社会人「質問会議」を通した社会連携を考察する〜

10月23日(月)から27日(金)で開催される、Global Action Learning Week。
中日の25日(水)の夜には、学生×社会人の質問会議におけるコラボレーションの可能性を探る特別座談会が開催されました。

今回はゲストに、社会人2名と学生3名をお迎えし、今夏に開催された質問会議サマーセッションや、社会連携プログラム”ALcana(アルカナ)”を通して、学生×社会人の質問会議の効果や導入のポイントについて、1時間たっぷりと語っていただきました。

 

  • 株式会社日立アカデミー
    永田誠 さん
  • 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
    増田朱紋 さん
  • 早稲田大学4年
    風越遥 さん
  • 情報経営イノベーション専門職大学3年
    福嶋あい さん
  • 東京経済大学4年
    鈴木悠真 さん

 

  • モデレーター:
    日本アクションラーニング協会 高橋陽之

※発言者は以下敬称略です

 

永田:私は日立グループの人材育成を担当する会社で働いています。アクションラーニングとの出会いは2013年、当時は別のグループ会社に所属していましたが、5つの会社が1つに合併するタイミングでした。
5つの出自が異なる文化の会社が1つになる中で、なかなかお互いが分かり合えないという事態にも直面しました。また職位や年齢を超えた相互理解や、イノベーションの誘発を可能にする手法がないかと探る中で、アクションラーニングを取り入れてきました。

 

増田:私は早稲田大学の4年生のとき、リーダーシップ開発プログラムでアクションラーニングと出会いました。初めて質問を通じたコミュニケーションを学ぶ中で、面白みを感じていました。
今は社会人2年目ですが、社会人になってもアクションラーニングはどう活かせるか考えられたらと思います。

 

風越:早稲田大学のリーダーシップ開発プログラムを通してアクションラーニングと出会いました。授業で体験したりTAとしての活動で活かす中で、実際の生活の中にアクションラーニングを生かして行ければいいなと思っています。
実は現在は休学中で、中学生・高校生に対する包括的性教育の講演活動や、高校生のキャリア教育や探求学習のサポートをする団体で活動しています。

 

福嶋:私も大学の授業の中で出会いました。問題や心情を、質問で深めることができる楽しさを知って、たくさんセッションを経験させていただきました。現在は学生ALコーチ資格取得に向けて勉強中です。
8.9月にはアクションラーニングをインカレ的に体験する「質問会議サマーセッション」の運営にも携わり、延べ90名ほどの大学生にご参加いただきました。

アクションラーニングと出会ってから、場を俯瞰してみる力と、どんな場面でも臆せず質問する力が付いたと思っています。就活でもどんな場面でも質問できていると思います。

 

鈴木:私も大学の授業でアクションラーニングと出会いました。元々物事を考えるのが好きな性格もあり、質問を通して問題を解決していくことが楽しいと思っています。大学の別のワークでも質問力がいいとフィードバックいただくことがあり、質問会議の賜物でした。

 

社会人×学生の質問会議にはどんな効果があるか?

高橋:永田さんのプログラムでは、どのように学生が入り、どんな効果がありましたか?

 

永田:先ほど紹介したプログラムでは、出自の異なる会社から部長や課長、主任等の異なる役職者でチームを構成し、アクションラーニングセッションを実施しました。多様性の中で一体感の醸成や、実際の困りごとを解消するために進めたのですが、途中からは日立グループの社員、そして社会人として、自身では気づいていない前提に気づき、乗り越えるために、学生にもセッションに参加いただくイベントを開催し、4年間で延べ約900名に参加いただきました。

出自が異なる会社で文化が異なるとはいえ、やはり同質な人たちが集まるんですね。そこに部外者である学生の観点が入ることは、非常に有用だと思いました。同じ会社の中では、例えばAというやり方が当たり前のものとしてあれば、時代や仕事のやり方が変わってきても若手は言い出しづらいんです。

そこに学生の方々には「いつからそうしているんですか?」「なぜそのように決めたんですか?」など、社内の人では聞けないような部分も質問で切り込んでいただいたのは、有用だったと思います。なので勇気を持って聞く、率先して質問してみるという学生の姿勢が、私たちにとってはすごくありがたかったです。

また例えば50代の本部長に対して、入社数年の20代半ばの若手は圧を感じたりして質問しづらいんですが、そこを学生が率先して、いい意味で空気を読まないで質問することで、若手社員も質問しやすくなった効果もありました。

 

高橋:逆に増田さんは若手社会人の立場ですが、若手社会人として学生から質問を受けるのはどんな感覚でしたか?

 

増田:責任を負ったり組織の中で動く経験から多少大人びている部分はあれど、社会人の若手は本質的にはそこまで学生と変わらないことも多いんですね。卒業してから日も浅いので、現役学生の感覚と自分の感覚は近かったりします。

ただ会社に入ってから上司が自分の親世代だったりして、会社のルールや文化に染まっていると思う部分もあります。それに「なぜ?」と質問してみると、「そう見えるのか」と新鮮に感じていただけたりはしますね。

 

社会人×学生の質問会議から学生は何を学んでいたか

高橋:では学生側からは、社会人との質問会議でどんないいことがありましたか?

 

福嶋:最もリアルに感じたのは、会社の中で働く方が、どんな気持ちでどんなことに取り組んでいるのかを、直接質問しながら知ることができるという点です。会社説明会やインターンなどでは、概要や業務のコンテンツしか知れないことも多いですが、アクションラーニングのセッションを行うと、想いや背景のような聞けない部分まで質問で聞き出せます。そうすると「人」自身を知ることができるので、回数を重ねると学生のうちからたくさんの社会人像を見ることができ、自分が目指したい像や、一緒に働きたい人、会社の姿をイメージできました。

 

鈴木:僕の中では、社会に出たら起こりうる問題を先に知れることが大きかったです。社会人になってから直面するのではなく、学生のうちからそのモデルケースを知れるだけでなく、なぜその行動をしたのか?などを、質問を通じて背景を知ることができたと思います。

 

風越:私は社会人とアクションラーニングをするときは、自分になかった新たな視点で、いろんな会社のことを知れるのは大きい経験でした。アクションラーニングを通して、その会社が何をしているかだけでなく、人を通して会社を知っていくという見方は、就活でも役立っていると思います。

就活サイトや説明会では、「人」までを知るのは難しいと思うんです。でもアクションラーニングの手法に乗っかって質問したりコミュニケーションを取れるのが大きいです。

 

学生が問題に深く切り込むコツは?

高橋:学生の立場で問題に深く切り込むといいことが起こる、というお話をいただきました。ではどうしたら学生が問題に深く切り込めるのでしょうか?

 

増田:質問を通じて「この観点だとどう思われますか?」などと、問題の背景状況をうまく聞き出していくと深く切り込むことができると思います。

 

福嶋:背景情報をしっかり聞き出すことは大事だと思っています。やっぱり分からないことが多いので、気になることを素直に聞いていくことがマインドとしては大事かと思っています。

 

鈴木:僕は相手の立場に立って考えるのが大事だと思います。自分が同じ立場だったら…という視点で質問すると、相手と自分の差を見つけることができるので、そこから質問が広がることがありますね。

 

風越:問題に深く切り込むのは難しいなと感じます。自分ではそうでもないと思っていても、社会人の方から「あの質問は印象に残った」とフィードバックをもらった経験があります。逆に社会人の方からしたら、どんな質問で深く切り込まれたかと感じるか気になります。

 

永田:そうですね、同一組織の社員、社会人としては当たり前と思っていて気づけない前提に、質問されるとハッとしますね。暗黙の前提となっているやり方に「どうしてそのやり方を採用しているんですか?」と質問されると、「ああ…!」と気づきが生まれることがあります。

 

福嶋:私は社会人とセッションするときに有効だと感じる、初心者の方でも深く入り込める質問が3つあると思っています。

  1. なぜ?
    疑問に思った「なぜ」を素直に質問してみることから始まります。
  2. 理想は?
    どんな問題でも将来の姿を聞くことで、問題が明確になることがあったりします。
  3. 気持ちを質問する
    出来事だけでなく心情にまで踏み込むことで、問題の捉え方まで知ることができます。

 

高橋:共有いただきありがとうございます。確かにこの3つは実際有効ですし、学生に限らず社会人でも質問で問題に深く切り込むには使えるものだと感じますね!

 

増田:社会人になって思うのが、学生だったらどんどん踏み込んで質問し合えたのに、会社組織の中だとハラスメントに気を遣ったり、踏み込んで質問して欲しくない方もいらっしゃるんです。そこでアクションラーニングという型が入り、学生がスパッと入ると効果はありますよね。私も先日、久しぶりに学生とセッションをし、最近あまり質問されていなかったと振り返りました。

 

高橋:質問力って単なるコミュニケーションスキルじゃなく、組織へのコミットメントや問題への向き合い方も相当大きく絡む話だなと感じます。

 

学生から学び、一緒に成果を上げるポイントは?

高橋:一方で社会人が、学生から学ぶということはどうすれば可能でしょうか?

 

永田:私たちがプログラムを行ったときは、セッションを行う前に問題提示者の方が、どんな問題を提示して、どんな状態を手に入れたいのかを整理し、メンバーに開示するようにしていました。事前にメンバーと共有することでイメージもできるので、そこに対してチームで取り組むことができますし、何を質問しようかと考えることができるので、

また何度もセッションを行う場合はフォローしやすいですが、セッションが1回の場合、行動計画を立てた後は参加者同士で声を掛け合う、フォローし合うという仕組みがあると、成果を上げやすいと思います。

 

高橋:確かにアクションラーニングセッションは60分間で、初対面の人もいる中で問題を再定義するというのは大変ですし、問題提示者の準備は大事ですよね。
以前に日本アクションラーニング協会で社会人×学生のセッションを行なった際、アクションラーニングでの問題提示に慣れていらっしゃらない方が「新商品へのフィードバックが欲しい」という姿勢で入られたのですが、学生は「そもそもなぜそれを行うんですか?」とか前提を問う質問をしても、セッション自体が進まなかったことがありました。
なので永田さんのおっしゃる、問題提示者の方とどんな状態を手に入れたいかを、事前に共有するというのは、とても大事だと感じました。

 

増田:私は自分の中でハッと気づきを得るというのが、大きな成果だと思っています。「やっぱりやらなきゃダメだよな」とか「もっと気軽に考えてよかったんだ」とか、強烈な気づきを得られるのが、アクションラーニングの一番の強さだと思います。

問題提示者として学生とセッションしたとき、自分自身の問題にも気づけたりしましたし、その気づきから来期の行動が立てられたりもしました。

 

高橋:なるほど、ありがとうございます。やっぱりオープンマインドが大切ですよね。増田さんは強烈な気づきを成果としてありがたがれますが、それをメンバーからの攻撃や、話し合いの中での衝突という風に捉えたら、学びにはならないですし、気づきをプラスのものにする雰囲気を作るアクションラーニングコーチの力量も問われますよね。

 

福嶋:私が社会人の問題提示者とセッションした時に、コーチが初回介入にて問題提示者の社会人の方に「学生に質問して欲しいところはありますか?」と質問していました。そこでより深掘りして欲しい部分や新たな視点を提示いただいたことで、学生が効果的に質問するきっかけが生まれていたと思います。問題提示の内容にも少し踏み込んで、軌道を作ってあげるのも1つのやり方なのだと思います。

 

直近の社会人×学生のアクションラーニング予定

大好評だったサマーセッションを受けて、11月に『質問会議オータムセッション』を開催します!こちらも質問会議の経験有無、学部や学年などを問わず、広く募集していますのでご参加をお待ちしております。

  • 1日目:11/13(月) 18:30〜20:00
  • 2日目:11/17(金) 18:30〜20:00
  • ※zoomオンライン実施

 

加えて毎年恒例となった、金城学院大学での学生ALコーチ認定セッションも、11月末に開催されます!

開催日時 2023年11月26日(日) 10:00-12:00(開場9:55)
配信方法 zoomオンライン
参加費 無料

詳細・お申し込みはこちら »

また「自分を知る、社会を知る」をテーマにした、学生同士の学び合いを生むラーニングコミュニティの立ち上げも鋭意進行中です。ご興味のある学生の方、教育関係者の方は、ぜひご連絡ください!

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