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活動報告

年次カンファレンス2019レポート①実演! ヤフーの1on1

デモンストレーション&講演 

ヤフーにおける組織開発 

1on1とアクションラーニング 

~本間氏によるデモンストレーションと実践の紐解き~

 

<講演者>

ヤフー株式会社 

常務執行役員 コーポレートグループ長 コーポレートグループ 法務統括本部長 本間浩輔氏

 

今回のカンファレンスのメインスピーカーを務めたのはヤフー株式会社常務執行役員の本間浩輔氏。

本間氏は2012年に日本アクションラーニング協会認定アクションラーニングコーチを取得しています。コーチ取得後も社内研修でアクションラーニングを活用していただいていた経緯もあり、今回のスピーカーとしてお話いただくことができました。多数対多数のチームで問題解決・コミュニケーションをとっていくアクションラーニング手法に対して、上司と部下の1対1での問題解決・コミュニケーションをとっていく1on1ミーティング。一見全く違う方法に見えますが、どちらも組織開発の1手法。本間氏はどのような心構えで、実践しているのか、実際のデモンストレーションも交え、お話しいただきました。

ヤフーでは2012年より当時人事の責任者だった本間氏により1on1ミーティングの手法を取り入れ始めました。

2017年に本間氏が「ヤフーの1on1: 部下を成長させるコミュニケーションの技法」という書籍を出版したこともあり、ヤフーは1on1ミーティング導入の先進的存在として認知されていますが、ただ1on1ミーティングの手法を導入したのではなく、常に様々な人事施策と組み合わせ、トライ&エラーを繰り返してきたといいます。

バズワード的に使われ、1on1という手法が全国で一般的になり、導入したい企業人事からの相談も多いという本間氏。しかし、今や1on1を行うこと自体が目的化している企業が増えており、そうした現状に疑問を感じるといいます。そこで、本間氏自ら上司役をデモンストレーションしていただき、加えてその解説を行っていただきました。

 

 

本間:僕は1on1の開発者でもないし、どのような形で広まっても責任があるわけではない。ただ、1on1が格調高いものになりすぎて、これさえやれば組織はうまく回ると思われている風潮は、どうなのかとは思います。僕は1on1はコーチングでもカウンセリングでもない、おしゃべりの延長線上にあると思うんですよ。

 

そこでデモンストレーションでは、1on1のポイントを3つに絞り、本間氏が実際に行なっている1on1をベーシックな形で実施いただきながら、その本質について考えました。

 

 

・ポイント① 今日、何を話す?

 

「今、気になっていることある?」という問いかけからスタート。上司と部下として対峙するという雰囲気を強めず、あくまで同じ方向を向いて、一緒に散歩しているような雰囲気から話を始めることを心がけているといいます。その上で、その日何を話すかを必ず決めます。

 

本間:1on1で部下は、上司が質問したこと以外答えられないんですよね。たとえキャリアの相談をしたいと思っていても、部下から切り出すことはなかなかできない。上司は案外、そのことを知らないんですが、特にスタートの質問にすごく気を遣わないといけないんです。

それと定期的に、決まった時間に「最近どうよ?」と聞かれるとわかっていると、相手も「また聞かれる。今日は何を話そう。」と考えます。それ自体、内省を始めていることになるので、僕はこれが大事だと思っています。

 

・ポイント② 「他には?」と問いかけ、本音を引き出す

 

相手が最近気になっていることを3つ挙げた後、本間氏はあえて「他には?」と2、3度問いかけます。すると相手はその場で考え、新たな候補を複数挙げていきました。本間氏は案外後半に出てくる話の方が本音に近しい、重要なものであることが多いといいます。

 

本間:上司が一生懸命なほど、最初に出てきたことを捉えて深掘りしてしまいがちですが、これも危険だと思います。僕の経験上、本当に話したいことって、最初には出てこないです。なので「他には?」というのは強力な質問になる。もう一度、相手自身が思考するようになるからです。今の若手は特に、上司の求めている答えを当てにいくという習慣が強く根付いています。上長がそれに気づいていないと、1on1をやっていても全く部下の本心を引き出せていないことになる。最近の若い奴は自主的でない、もっと主体的に考えろというリーダーがいるけど、そう仕向けているのは上司側であることも多いと僕は思います。

 

・ポイント③ 最後には行動で終わる

 

話の最後は「次のミーティングで、具体的にどんなことをやりたい?」という問いかけで行動目標を考えるサポートをしました。相手が具体的な行動に移せるところまで会話をする、というのがポイントです。

 

本間:コルブの経験学習モデルでは、今回の学びは何?という内省で終わることが多いですよね。でも僕は最後は行動で終わりにしたいと思っている。行動は実際は上手くいかないことも多いけど、経験学習の行動サイクルを回すためには、相手がどう次の1歩を踏み出すのかが全てだからです。上司は極論、話の途中まではほとんど聞いている必要はなくて、最後の部分だけ聞いていればいいんです。なぜなら、わずか数分の会話だけで、部下の気持ちを本当に分かることなんてできないから。相手は話しながら内省できれば、自分の中でテレビの4K、8Kのように経験してきたことが鮮明に浮かんでくるわけです。だったらその内省をサポートして、自分で浮かんだアクションを宣言してもらう。それに俺も付き合うからさ、というスタンスで話を聞くことが一番ではないかと思います。

参加者の皆様からは

「1on1がなぜ、機能しなかったのか、理由がわかった」

「本間さんのお話は、とても実務的・実践的でわかりやすかった。最近のセミナーの中では最も価値があった。」

「印象に残ったのは、方法だけが大切ではなく、目的(何を変えたいか?)を達成する手段の一つとしてあらゆる方策を考えるという本間様の姿勢でした。」など、ポジティブなご意見をたくさんいただき、みなさまそれぞれに感じることの多かった時間だったようです。

 

 

<講演者 プロフィール>

本間 浩輔

認定ALコーチ
ヤフー株式会社 常務執行役員
コーポレートグループ長
コーポレートグループ 法務統括本部長
1968年神奈川県生まれ。早稲田大学卒業後、野村総合研究所に入社。コンサルタントを経て、後にヤフーに買収されることになるスポーツナビ(現ワイズ・スポーツ)の創業に参画。2002年に同社がヤフー傘下入りした後は、主にヤフースポーツのプロデューサーを担当。2012年、同社の社長交代に伴い、ピープル・デベロップメント(人事)本部長、同執行役員を経て、現在コーポレートグループ長(常務執行役員)。主著/『会社の中はジレンマだらけ 現場マネジャー「決断」のトレーニング』(光文社新書、2016年)、『ヤフーの1on1―部下を成長させるコミュニケーションの技法』(ダイヤモンド社、2017年)等。

 

 

写真:山本奈月

文:波多野あずさ

日付 名称 参加区分
2019/7/27 年次カンファレンス2019