問題解決とチーム学習の組織開発手法であるアクションラーニングを活用した、経営幹部養成や管理職研修プログラムを提供しています。

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日本アクションラーニング協会情報

年次カンファレンス2015 アクションラーニングを活用した 組織開発事例一体感醸成施策「段飛び・クロス懇談会」

会社合併によるシナジーが 生み出されていなかった

そもそも私たちが組 織にアクション ラーニング(AL)を導入しようと思った きっかけは、会社の組織改編でした。 2013年4月に、 株式会社日立コンピュータ機器と日立情報通信エンジニアリング株式会社が合併し、新たに株式会社日立情報通信エンジニアリングとしてスタートしました。
合併後、社員の 一体感を培うためにさまざまなことをしましたが、会社のシンボルスポーツの応 援活動もその一つです。バドミントンの日本リーグや国内大会の応援を積極的に行ったほか、全国の社員の交流イベ ントなども行っていきました。
その結果、 社員相互の気持ちの面での一体感はある程度育まれてきたものの、事業面でのシナジーが思うように発揮されていない現実がはっきりとしました。そこで、 あらためて「一体感の醸成(事業シナ ジー創出の促進)」というテーマのもと、 全社的な施策を推進することになりまし た。 一体感醸成施策においては、主に以 下のような課題が挙げられました。ま ず、リソースの共有と業務の効率化が 進んでいないという点。他の事業部が どのような事業をどのように展開しているか、またそこには、どのようなスキル やネットワークを持った人がいるのかと いう情報が十分に共有されていません でした。 次に、社員や組織の多様性が活かされていないという点がありました。旧社 がほぼそのまま事業部に移行したため、 会社ごとの異なる観点や個人の価値観 などを活用した対話の場所が十分にありませんでした。そして、業務プロセス や定義が統一されるのに時間がかかる という点も課題でした。グループ会社同 士とはいえ、仕事の手順や慣習、業務 上で使用する単語の定義などには微妙 に差異があります。それらの差異から 生まれる誤解も見受けられました。これらの課題を解決するために、所属や 職位、勤務地などが異なる社員が集まって、情報交換や事業課題の討議を実 行できる場をつくることが必要だと考え ました。

多様なメンバーを編成して2回のALを実施

そこで事業部内の「段飛び」だけで なく、事業部や職位が異なる社員の交 流(クロス)の場をつくるためのプログラムを策定。事業課題を多角的な視点で アクションラーニングを活用した 組織開発事例 企業におけるアクションラーニングを活用した組織開発の実践 一体感醸成施策「段飛び・クロス懇談会」 株式会社日立情報通信エンジニアリング 経営マネジメント本部 人財ソリューション部 永田 誠 年次カンファレンス 2015 考察するために、アクションラーニング (AL)の手法を採用することにしました。 プログラムの対象者は、本部長、部長、 課長、技師・主任に相当する各職の混 合で、人数は 400 人程度。これは全 社員数の約 1 割にあたります。 事前準備として、まず事務局でグルー プの編成を行いました。メンバーの多 様性を確保するために、「所属」「役職」 「在勤場所」「出身会社」の重複が極 力無くなるように配慮しました。また、 社員同士の相互理解を促進するために 事前に「ビジネスモデルキャンバス」の 共通フレームを配布し各人のビジネス 環境について整理してもらいました。当 日は、まず運営事務局から趣旨の説明 があり、その後に各グループに AL コー チが参加。「各人の自己紹介および現 状の問題認識共有」と「AL セッション」 を順番に進めていきます。70 分のセッ ションと 10 分の振り返りをそれぞれ 2 回行いましたが、2 度目になると慣れて きたのか、場が一層活性化する様子が 見られました。 より確実に AL の概要を理解しても らい、またセッション後の全体共有を 充実させるために、途中からセッション 前後の時間を合計 1 時間ほど拡張しました。

多様な価値観の重要性に理解が得られた

実際にプログラムを実 施してみて、 事務局や AL コーチとして苦労を感じる点がありました。業務都合による欠 席者数を最小にするための調整や、本 部長などが複数回の参加に難色を示し たこと、“ 正しい手順 ” に拘る人がいたこと、職位が上の人ほど自分の意見 を話したがること、などです。 AL のセッションを実施することで 参加者の傾向を把握することができました。提示された問題を分類してみると、「事業上の問題」や「収益上の問 題」が多く見られました。また、ALセッション後では、「社内コミュニケー ションの問題」や「個人の能力の問題」 が再定義によって大きく増加しました。 これは、問題意識を持つことの重要性 が共有されると同時に、それらの問題 について各自に当事者意識が生まれた ことを示していると思います。 参加者のコメントからも、本プログ ラムの効果をうかがい知ることができ ます。「無理、無駄と思っていたことに 対して新しい視点で行う気になった」 と、チャレンジ行動につながったもの があれば、「メンバーの課題や悩みが 自分のものと共通していることがわかり、これまで考えていたことが自分だけの問題でないことがわかった」と、 課題の共有化につながったものもあり ました。また、「知らなかった業務について知ることができ、その業務に関わる人との繋がりができた」という業務 上の新しい繋がりができたという感想 や、「日本アクションラーニング協会のスタッフを交えた会話や議論によって、自社で常識と思っていることが、必ずしも社外で通じるわけではないことが わかった」と、多様な視点や価値観の大切さを再認識した感想もうかがえました。 2015年7月末日の時点で、すでに 400 名以上がプログラムを体験し、さらに人数が増えていく予定です。今後 の課題としては、アクションプランを 策定した後に、そのプランをどのよう にフォローしていくかという点や、職位 が高い社員の参加回数が増加すること による負担をどのように軽減していくか という点、また「ビジネスモデルキャン パス」で収集したデータの有効な活用 方法などについても、今後模索していく必要があると考えています。

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