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日本アクションラーニング協会情報

『特別カンファレンス 未来を創造するアクションラーニング2024』を開催しました

2024年3月22日、NPO法人日本アクションラーニング協会の特別カンファレンスを開催しました。
急速な技術革新に伴ったパラダイムシフトが起きている現代で、アクションラーニングは様々な問題のソリューションとして活用されています。

開催概要

  • 日時:3月22日(金) 14:00-17:00
  • 場所:渋谷QWS(渋谷スクランブルスクエア15階)
  • 開催形態:ハイブリッド開催(対面・zoomオンライン)

今回の特別カンファレンスのテーマは、「未来を創造するアクションラーニング」。現場でアクションラーニングを活用されている3社の事例発表を通して、新しい時代の組織開発と人的資本経営の可能性を探りました。

 

イベントレポート

会場は「問い」を起点としたインキュベーションセンター、渋谷QWS。最先端の社会課題に対する問いが溢れた会場には30名以上の方々が集まりました。
また今回はオンライン(zoom)でも生配信され、オンライン参加者も合わせると50名以上の方々が参加されました。

和気あいあいとした雰囲気の中、カンファレンスはアクションラーニングの大家であり、日本アクションラーニング協会代表清宮の師でもある、Dr. マ―コードによる特別ムービーで幕を開けます。Dr. マ―コードは80歳を超えてもなおお元気なご様子。日本アクションラーニング協会の運営会社、株式会社ラーニングデザインセンターの創設20周年への祝福と、600名を超える日本の認定アクションラーニングコーチを称えられました。

 

続いては代表清宮による講演。「アクションラーニングによるパラダイムシフト:新しい組織と人材の未来像を拓く〜3つのベクトルと事例紹介について〜」と題し、まずは現代の様子と今起きているパラダイムシフトをブリーフィングし、特別ゲストによる事例紹介の導入をしました。

清宮:AIをはじめとした技術革新が目覚ましい現代。私たちは数年に一度、産業革命級の変化の波にさらされています。定年まで同じ仕事がないと言われる時代の中、私たちの働き方は再定義され、常にリスキリングや学習が行われなければなりません。
今回の特別カンファレンスでは、パラダイムシフトに応じたアクションラーニングの活用をテーマに、3つのベクトルで事例紹介をしていただきます。

  • トップダウンの意思決定から従業員主導のイノベーションへ
  • 固定的なビジョンから進化するゴールへ
  • そして一方通行の研修から、双方向性と実践を組み合わせた学習とそのファシリテーションへ

 

続いてアクションラーニングを導入している企業での事例紹介がされました。

3つのベクトルでの事例紹介

①NECライフキャリア株式会社
登壇:佐藤純子さん(WIAL-Japan 認定シニアアクションラーニングコーチ)
『研修を超えるパフォーマンス向上:Re-skilling Campと行動変容~経験学習を伴走するラーニングアドバイザー~』

NECライフキャリアは、NECグループ内で唯一の守秘義務を持ったキャリア開発支援専門組織として、2020年に発足しました。キャリア開発、ジョブマッチング、メンタルヘルスサポート、ビジネスコーチングなどの事業を行っている中で、組織変革促進を支援する行動変容プログラムとしてRe-skilling Camp(RSC)を複数の部門に導入しています。

RSCは知識・スキルの習得と、コンピテンシー(思考・行動の特性)の向上に同時に取り組むプログラムであり、経験学習サイクルを回すためのLearning Advisor(LA)が活躍しています。
RSCの中で、アクションラーニングはコンピテンシー向上プログラムと、LAの育成およびスキル向上に活用されています。コンピテンシー向上プログラムでは、アクションラーニングの手法が有効であり、LAはプログラムの中で、ALコーチのように「フォローアップ質問」や「介入」を行っています。またLAの育成においては、コルブの経験学習理論や成人発達論の理解がカギとなります。「人や関係性」に介入したり、組織を相手に学習の場を形成するという点で、LAに求められる力は、ALコーチに求められるそれと重複しています。

RSCの成果として、「知識・スキル」+「行動変容」により、短期間で組織力強化を実現しています。プログラムを導入した各部門では、コンピテンシーアセスメントのスコアが前年比6-7%上昇し、LAによる振り返り支援が参加者の気づきを生み、今後も実施継続を望む声が上がっています。

 

②東京海上ディーアール株式会社
登壇:青地忠浩さん(WIAL-Japan 認定アクションラーニングコーチ)
『人的資本経営とウェルビーイングマネジメント』

働く人々の集合的な知識・スキル・能力・経験・創造性の特性によって生み出される価値(人的資本)を活かす経営を「人的資本経営」と呼びます。人的資本経営は、人材の確保や早期離職の防止、採用にも関わり、将来の企業価値に大きく影響する指標として、近年世界中から注目を集めています。また働く人々の持続的な良好な状態を中心に捉えた「ウェルビーイングマネジメント」は、「働きがい」と「働きやすさ」の調和がとれた状態を目指しています。

しかし中間管理職の悩みとして、ウェルビーイングマネジメントやメンバーの育成に取り組みたいが、メンバーとの認識の差異や問題への対処で手いっぱいであったり、時間的制約やプレッシャーなどを抱えているというパラドックス状態が頻発しています。
そこで「診断型アクションラーニング」に取り組んでいます。これはアクションラーニングの持つ、心理的に安全な場で本音を引き出せる、メンバー同士の繋がりを強化する、再定義で組織的問題を抽出し、施策立案に繋げるという特性を生かしたものです。

プログラムでは、リフレクションシートやリーダーシップ診断アンケートなどを組み合わせた事前課題に基づき、ご自身のマネジメントやコミュニケーションを振り返り、そして個別にカスタマイズされたアクションラーニングプログラムによって、実践と振り返りを繰り返し、コミットメントを引き出して行きます。

 

③株式会社ウィル・シード
登壇者:岸本渉さん(WIAL-Japan 認定アクションラーニングコーチ)、木下みらいさん
『Leaning Facillitationの形式知化への挑戦』

ウィル・シードは「100の言葉より、ひとつの体験」をスローガンに掲げています。
AI時代の今、私たちが向かい合うのは適応課題が多くなっており、適応課題に即した学習が求められています。経験学習やダブルループ学習のプロセスを紐解くと、適応課題に即した学習は、認知の変容と次なる行動への新たな動機が生まれるプロセスそのものと言えるのではないでしょうか。
適応課題に即した学習を支援することを、ウィル・シードではLeaning Facillitationと呼び、この活動を社会的意義をもって推進したいと考えています。Leaning Facillitationのキーワードとしては、「プロセス」「ダブルループ学習」「心理的安全性」「場をホールドする」といった実践知が挙げられます。しかしその体現の仕方はブラックボックス化しているのが現状です。

そこでLeaning Facillitationを、パターンランゲージを用いて形式知化を試みています。パターンランゲージでは、優れた実践者の経験則に共通する「パターン」をあぶり出し言語「ランゲージ」化します。この手法を用いると、メンバーは状況を見立てる観点や行動の選択肢を得られるため、行動の方向性を示しつつも、メンバー自身による試行錯誤と学習を促すことができます。これはメンバー既定の手順やフローのようなマニュアルを、正確に再現することを促すアプローチより、適応課題に即した手法と言えるのではないでしょうか。
Leaning Facillitationパターンは、チームバイオリズムにも活用ができ、また経験学習のデザインにも役立ち、ファシリテーター自身の学びを深めていきます。形式知化への挑戦はこれからも続いていくので、当社で得た学びを皆さまにもシェアできればと思います。

 

未来のアクションラーニング

事例発表の後はグループに分かれ、参加者同士で対話の時間を設けました。感想や意見、そして質問を共有し、全体でのQ&Aセッションも大いに白熱。各事例への疑問点やコメントにとどまらず、参加者の方々それぞれが自組織や専門分野でどのように活用し得るか議論されていました。
最後には清宮から2023年度の活動報告と、2024年の展望についてのプレゼンテーションがあり、カンファレンスは閉幕。その後はQWSにて懇親会もあり、久々の対面での交流会ということもあり、和気藹々とした雰囲気で新たな出会いも生まれる場となりました。

 

参加者の声

  • 3つの違う視点からのAL活用が興味深かったです。取組テーマに関わらず、内省、学習、メタ認知をしっかりとり入れて実行されている点がさすがだなと思いました。
  • 久しぶりの対面カンファレンスで、アクションラーニングの熱が少し蘇ってきました。
  • 今は能力・組織開発に縁のない生活をしているので特に、学びと成長について熱心に探求・試行錯誤しておられる様子に接して、とても元気をもらえました。
  • 発達心理学の水平的成長と垂直的成長がとても印象深かったです。
  • アクションラーニングのコーチングに於けるパターンランゲージ作成が興味深く感じました。確かにこのような形で事例が提示できると、アクションラーニングを進める際の品質が向上するように感じました。
  • 「ラーニングファシリテーションパターン」講座外でALコーチをしたときの、迷い・戸惑い・試行錯誤の高密度な感覚が思い出されました。
  • 考え方で参考になる点が多く、概念化するといろいろな場面で活用できると思いました。
  • 人的資本価値をどう高めていくのかのアプローチの参考にさせていただきます。

“学び”の意味付けを展開してヒト・組織・社会をアップデートするためのオンラインサロン”Learning Base”が、2024年も始まります!2024年のテーマは「アクションラーニング×未来スタイル」。
第1回のゲストは「あそび」と「しごと」のいいとこ取りを目指す会社、株式会社あそと代表取締役佐藤光司(さとうこうじ)さんをお迎えします!詳細はぜひこちらをご覧ください。

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