問題解決とチーム学習の組織開発手法であるアクションラーニングを活用した、経営幹部養成や管理職研修プログラムを提供しています。

03-4400-9867
受付時間:平日9:30-17:30
NEWS

日本アクションラーニング協会情報

チームコーチングとは?

「チームコーチング」は、その名の通り、チームのパフォーマンスを向上させるための指導法の一つです。これには様々な手法が取り入れられ、その結果として個々のメンバーだけでなく、チーム全体としての成果も大きく変わります。

今回はこの「チームコーチング」について深く掘り下げましたので、チームの生産性を上げたい方は、参考になさってください。

チームコーチングとは

チームビルディングからチームコーチングへ:新たなチーム力向上のアプローチ

従来よく実施されていた「チームビルディング研修」は、チームの力を増強するための活動として有用でした。しかし、その成果が一時的で、永続的な効果を得ることが難しいという問題が見受けられました。では、より効果的な方法は何かと問われれば、答えは「チームコーチング」です。

「チームコーチング」はリーダーや外部のコーチが、チームと長期的に関わることで、継続的なパフォーマンス向上を図る手法です。チームが新たな知識や技術を習得し、それを実際の業務に生かすことが可能になります。個々の学習も重要ですが、現代のビジネスシーンでは「チーム」全体での学びや成長が不可欠となってきています。

リモートワーキング時代の課題

リモートワーキングの普及は、私たちが働く方法を一変させました。パジャマのままミーティングに参加したり、リビングで仕事をしたりと、働き方の自由度が増えました。しかし、この新たな働き方には、未だ解決を待つ大きな課題があります。以下に、4つ挙げます。

分散したチームの結束力

自由度の増加は、個々の働き方を豊かにしましたが、チーム全体としての結束感を保つことを難しくしています。それぞれが自由に働く中で、共通の目標に向かう力が弱まり、チームから離れる力が強まる傾向にあります。

共有の目標と意義の再定義

チームとしての結束を保つためには、共有の目標とその目標に対する意義を再定義し、明確にすることが必要です。これにより、個々が自主的にその目標に向かいつつ、チームとして一体感を保つことが可能になります。

リモート環境下の意見の衝突

意見の相違は、イノベーションを生み出す原動力です。しかし、リモートワーキングによって、顔を合わせて直接議論する機会が減り、意見の衝突をうまく管理するのが難しいと感じている組織は少なくありません。

オンラインにおける対話の促進

リモート環境でも、意見の衝突を解決する方法を見つけなければなりません。これには、オンラインでも意見交換やディスカッションを積極的に行う環境を作ることが必要です。

リモートワーキング時代は、困難な課題を私たちに投げかけています。しかし、この厳しい時代こそ、2つのアプローチを含んだ、創意工夫と柔軟な対応で、前例のない新たな解決策を生み出すチャンスです。過去10年で変わったことを、10倍の速さで、体験しているのが今の時代です。そのなかで、私たちのアプローチもまた変化していきます。

チームコーチングの役割と特性

これらの課題に取り組む上で、「チームコーチング」は非常に効果的な手法となります。具体的には、先ほどの目標の再定義と共有、そして対話を促進する役割を果たします。

これは、言い換えれば、小規模なグループに対する組織開発の一部として位置づけられます。「チームコーチング」は、個々の人に焦点を当てた「パーソナルコーチング」とは異なります。

また、大規模な集団を対象とした組織開発手法、たとえば「ワールドカフェ」や「フューチャーサーチ」のような手法とも異なります。それらと比較して、「チームコーチング」は特に小規模な集団、つまりチームに対して、その成長と発展を促す役割を担う、組織開発の手法といえます。

私たちがこれまで関わってきた「AL(アクションラーニング)」も同様の手法です。しかし、チームコーチングとALが同じなのかどうかは、少し説明が必要です。私がこれまで2つが同一といえなかったのは、チームコーチングの定義が広すぎて曖昧だったからです。アクションラーニングというグローバルな視点から見れば、チームコーチングは、コーチによる1対多の支援ではなく、チーム活動自体に対する改善支援であり、メンバー全員が互いに指導し合う「N対Nのピアコーチング」環境をつくっていくものです。これはALと同じです。

チームコーチングの目的

チームコーチングの主な目的は、チーム全体のパフォーマンスを向上させることです。ここでのパフォーマンスとは、単に成果だけでなく、コミュニケーションの質や問題解決能力、自己学習能力など、より広範な視点でのチームの力量を指します。

個々のメンバーとの対話(コーチング)、チームを作るための活動(チームビルディング)、チームを成長させるための活動(チーム開発)、集団を導くための手法(ファシリテーション)、組織やチームの課題を解決するためのコンサルテーション(プロセスコンサルテーション)といった方法を組み合わせて行われます。

チームの成果を最大化する

「チームコーチング」の真ん中にある目標は、チーム全体が目指す結果を最大にすることです。これは、全員が一緒に同じゴールに向かって進むことで実現します。
チームのコーチは、どうすれば各メンバーがチームとして最大限に活躍できるか、どう働き、どう協力し、どうコミュニケーションを取るか、そのために何が必要かを理解し、実行するためのサポートを提供します。

チームが自分で学んで成長する

「自分で学んで成長する」。これがチームコーチングがめざすもう一つの大事なポイントです。チームが一緒に考え、問題を見つけ、解決策を出し、それを行動に移す力を育てます。

これにより、チームはこれから出会う問題や課題に対して、よりスマートに対応できるようになります。

複雑な問題に挑む力をつける

今のビジネスの世界は、極めて相互依存性が高く、複雑な問題が次から次へと出てきます。チームコーチングでは、このような難問を解決するために、チームが一緒に考え、新たな見方やアプローチを生み出す力を鍛えます。

変化に対応する力を支える

成功する企業には一つ共通することがあります。それは、常に変化に対応し、適応していく力があることです。チームコーチングでは、チームが変化を理解し、それに対応し、変化を前に進む力に変えるための支援を提供します。

要するに、チームコーチングの目指すところは、チーム全体の成長と発展、そしてそれが結果的に会社全体の成功につながることです。一人ひとりの成長やスキルアップだけでなく、チーム全体としての成長と協力する力を大切にすることで、この目標を達成することができます。

チームコーチングの流れ

チームコーチングでは、チームがどのように動いているか、仕事はどう進んでいるかに焦点を当て、個々の人の成長や人間関係よりもチーム全体がどうなっているかに注目します。なので、個々の人に対するコーチや専門家とは違った視点が必要です。

チームコーチングの進行は、大体以下の段階で行われます。

1.チームの現状を見る(初期評価)

まず最初に、チームコーチはチームが今どんな状態にあるかを理解します。このために事前に様々な方法やツールを使って、または、その場で情報収集をおこないます。それには、各メンバーのスキルや性格、チーム全体の動きや問題点、チームが直面している課題や目指すべきゴールなどが含まれます。

2.コーチングの計画を立てる(計画立案)

チームの現状を見た結果を基に、チームコーチはコーチングの計画を立てます。この計画は、チームが抱えている問題をどう解決するか、ゴールをどう達成するかの戦略と具体的な手順を決めるものです。

3.コーチングセッション(チームコーチングの実施)

チームコーチは定期的にチームとのコーチングセッションを行います。このセッションでは、各メンバーは自分の行動とその結果について振り返り、新しい行動を試すことが奨励されます。また、チーム全体としての協力の仕方や動き、問題解決の能力などを高めるための活動も行われます。

4.成果を振り返り、評価する(評価とフィードバック)

チームコーチは、コーチングセッションの成果を基に、チームの進捗を評価し、フィードバックを提供します。このフィードバックは、チームの成果をさらに良くするための貴重な情報を提供します。

5.改善し、再度計画を見直す(改善と再評価)

チームコーチは、フィードバックを基にコーチングの計画を見直し、チームの改善点を明確にします。そして、新たな目標を設定し、チームコーチングの実施を継続することで、チームが目標に近づいているかを確認します。

これが、チームコーチングの一般的な流れです。ただし、具体的な手順は、チームの具体的な状況や目標、課題、コーチのスタイルなどによって変わる場合があります。

次は、このチームコーチングを実現する「チームコーチ」についてご説明します。

チームコーチとは

チームコーチは、チームのリーダーや決定者ではありません。また、単にアドバイスを提供するコンサルタントやアドバイザーとも異なり、チームのメンバーと一体化し、感情に流される存在とでもないのです。 CCL(Center for Creative Leadership)という米国カリフォルニアに拠点を置くリーダーシップ研究の専門機関では、チームコーチを「チームと協力して働く個人」と定義しています。その役割は、チームメンバーの思考を深める(リフレクション)、事象を分析し、変化に向けたモチベーションを引き出します。チームの全体的な力とパフォーマンスを向上させるための学習の場を作る、というのがチームコーチの役割と言えます。

チームコーチのさまざまな形

次に、チームコーチの種類について考えてみましょう。ここでは、「チームコーチング」、「リーダーチームコーチング」、「変革リーダーチームコーチング」、「システミック・チームコーチング」の4種類を見てみます。

チームコーチング

チーム全体のパフォーマンスを向上させることを目指し、そのために個々のメンバーのコーチング、チームの形成や成長、会議の進行や課題の解決などを含みます。

リーダーチームコーチング

組織のリーダーシップを持つチーム(例えば経営幹部など)を対象に、パフォーマンスや目標達成に向けたプロセスを改善する支援を行います。

変革リーダーチームコーチング

業界や組織が変革の時期にあるとき、チームが旧来の学習や思考を破棄して、新しい視点を取り入れられるよう支援し、チーム全体のリーダーシップを高めます。

システミック・チームコーチング

チームがより大きなシステムの一部であり、そのシステムから影響を受け、またそのシステムに影響を与えることを認識するものです。チームだけでなく、より広い組織への影響、またその逆の影響も改善することを目的とした、全体的な方法です。今の時代にはこのタイプのコーチングが特に求められています。

私たちは、種類のちがいはあっても「現場的なチームコーチング」と言えるものをコーチングの中心におきます。チームコーチの役割として、具体的な課題設定と解決を元に、チームを活動させていきます。

誰がチームコーチになれるのか

チームコーチは誰でもなれますが、一般的にはライン管理者や社内外のコーチ、または組織開発を担当するビジネスパートナーなどがこの役割を担います。
今後は、ライン管理者が基本的なチームコーチングを自らのリーダーシップの一部として担うべきでしょう。その結果、より高度なチームコーチングについては外部の専門的なコーチに依頼できるようになります。つまり、全体の効率と質を高めるために、チームコーチングの役割と責任を分散させ、適切なレベルで行うべきでしょう。

チームコーチを考えるとき、最初にコーチが何を提供し、チームが何を期待するのかを明確にすることが重要です。

チームコーチングを学ぶ人の特徴:その落とし穴

チームコーチングを学び始める人々の中には、パーソナルコーチやコンサルタントの経験を持つ人々が多いです。しかし、これらの役割は表面上は似ているようで、実際にはそれぞれ異なる特性を持ち、注意が必要です。

パーソナルコーチは、一般的には個々の成長や人間関係に焦点を当てる傾向があります。しかし、チームコーチングでは、チーム全体の動きとそのダイナミクスに注目することが重要となります。個々のメンバーに対する焦点が強すぎると、チーム全体としての視点を見失うことがあります。

一方、コンサルタントのバックグラウンドを持つ人々は、チームの構成、選択肢、業務プロセスに深く関わる傾向があります。しかし、チームコーチングでは、チーム全体と個々のメンバーの両方を見ながら、プロセスそのものに働きかけるスキルが求められます。枠組み・構成への視点が過剰になると、チームと個々のメンバーの人間性やダイナミクスに対する洞察を欠くことがあります。

したがって、パーソナルコーチでもコンサルタントでもなく、チームコーチとしての独自の視点とスキルを持つことが、チームコーチングを学ぶ人々には必要となります。

チームコーチングの効果

チームコーチングは、単に個人のパフォーマンスを引き上げるだけでなく、組織全体の力を高める手段です。その効果は以下のように具体化できます。

パフォーマンスの向上

チームコーチングの主な目的は、チーム全体のパフォーマンスを向上させることです。これは、反省や自己分析を通じて自身の行動や考え方を見直し、必要な改善点を見つけ出すことで達成されます。このプロセスには、「ピアラーニング(仲間コーチング)」が重要な役割を果たします。

ピアラーニングとは、チームメンバー全員が互いに学習し合い、共に成長する中で相互に影響しあうことを指します。この経験を通じて、チームメンバーは協力し合うことの価値を理解し、問題解決や意思決定のスキルを向上させることが可能になります。結果として、チーム全体としてのパフォーマンスが向上します。

コミュニケーションの改善

チームコーチングでは、コミュニケーションの改善が重要なテーマとなります。チームメンバー同士のコミュニケーションが円滑になることで、意見のすれ違いや誤解が減り、より良い意思決定が可能になります。

また、コーチングを通じて会話のスキルを身につけることで、メンバー間の信頼関係を深め、オープンで正直なフィードバックを交換する文化が生まれます。これにより、チームの連携が向上し、一体感が生まれ、最終的には組織全体の文化が強化されることにつながります。

期待できない効果

一方で、チームコーチングが即座に全ての問題を解決する魔法のようなものではないことを理解することも重要です。

チームコーチングは、パフォーマンスの向上やコミュニケーションの改善といった目標を達成するための手段であり、それ自体が結果ではありません。また、その効果を最大限に発揮するためには、時間と労力を必要とします。効果が見えるまでには時間がかかることもあり、その過程ではチームメンバー全員が一貫したコミットメントを持ち続けることが求められます。

チームコーチングの方法

チームコーチングの主な目的は、チーム全体のパフォーマンスを向上させることです。カリフォルニアのCenter for Creative Leadership(CCL)は、チームコーチングを「単独のコーチがチームと連携し、サポートする過程」と定義しています。

この過程は自己反省、分析、そして変化への動機づけといったコーチングの基本原則を活用し、それらを通じてチーム全体の能力とパフォーマンスを向上させるために設計された学習支援です。そのために活用される複数の手法についてご説明します。

個々のコーチング

チームコーチングには個々のコーチングが含まれます。これは、メンバー一人ひとりが自己の能力を最大限に発揮できるようにサポートすることを目指します。その結果、チーム全体のパフォーマンスも向上します。

チームビルディング

チームビルディングは、チームの結束力を高め、互いの理解を深め、より高いパフォーマンスを達成するためのプロセスです。これは、一般的には、チームビルディング活動やエクササイズを通じて行われます。このプロセスでは、チーム内のコミュニケーション、問題解決のスキル、そして互いに対する理解が強化されます。

チーム開発

チーム開発は、チーム全体が共に学習し、成長するための戦略とプロセスを計画することを指します。これには、チームのビジョンの設定、目標の設定、チームの文化の開発、チームのパフォーマンスの評価とフィードバックのシステムの構築などが含まれます。

ファシリテーション

ファシリテーションの目的は、意思決定の過程を効果的かつ効率的にすることで、これにより、チームの目標達成に向けて一体感を醸成し、生産性を向上させます。個々のメンバーが互いに尊重し、開放的なコミュニケーションを保つことで、チーム全体の成果とパフォーマンスが向上します。

プロセスコンサルテーション

プロセスコンサルテーションは組織の自己解決能力を育てるアプローチで、組織内の人間関係やコミュニケーション、意思決定プロセスなどの「プロセス」を重視します。コンサルタントは自己診断や解決策開発の手法を提供し、組織が自身を理解し、改革するための視点を獲得することを目指します。これは従来の「コンテンツ」に焦点を当てるコンサルテーションとは異なります。

以下に、それぞれのアプローチの主な特徴と目的をまとめた表を作成しました。

方法 主な特徴 目的
チームコーチング チーム全体に対するコーチングで、互いの役割、目標の設定、コミュニケーションの改善などを中心に行われます。 チームの生産性と効率を高め、一体感を強化すること。
個人コーチング 一人ひとりの個々のニーズと目標に焦点を当てたコーチング。 個人のスキル、パフォーマンス、自己啓発を促進すること。
チームビルディング チームの結束力を強化するための活動やイベント。 チームの一体感を強化し、協力と相互理解を促進すること。
チーム開発 チームのスキルと能力を向上させるための戦略的な取り組み。 チームのパフォーマンスと効果を高め、目標達成を支援すること。
ファシリテーション グループの会議やワークショップでのコミュニケーションを円滑にし、全員が参加する環境を作る役割。 会議やワークショップの目標を達成し、全員が有意義な参加をすること。
プロセスコンサルテーション 組織やチームが自己診断し、解決策を見つける力を育てるアプローチ。 組織の自己改善と持続的な改革を支援すること。

これらのアプローチは相互に補完的で、しばしば同時並行で使用されます。具体的な状況や目標に応じて、最も適切な方法を選択することが重要です。

チームコーチングに必要な力とその開発方法

チームコーチングに求められる能力は、パーソナルコーチが有する基本スキルに加えて、五つの特別な視点を持つことが求められます。これらは以下の通りです:

  • チーム全体に焦点をあてる
  • システム思考の視点(プロセスを見る力)
  • 曖昧さの受容
  • 挑戦と支援の促進
  • 長期的視野・展望の保持

これらの視点は、個々の行動よりも全体の動向に焦点を当て、深層の連関性や価値観を理解すること、柔軟な対応を可能にするための既存規範からの脱却、そして単発の結果ではなく持続的な成長に価値を見出すために、極めて重要です。

視点を強化し、具現化するためには以下の三つのアプローチを推奨します:

  • 視点の強化:結果とプロセスの分離、システム視点の獲得
  • 質問力の開発:適切な介入タイミングと反射的質問の練習
  • メタ認知の提供:反省の機会の提供とフィードバックを通じた自己認識力の向上

マネジャーがコーチになる場合、特に視点の強化が必要で、明らかに見える結果に囚われず、背後に流れるプロセスや複雑な関係性を理解する視点を持つことが求められます。

質問力の開発では、介入のタイミングと何を問うかの練習が必要です。問いかけは学習の促進だけでなく、信頼関係の構築にも役立ちます。
また、メタ認知の提供により、「今何が起こっているか」という反省の機会が提供され、それによってメタ認知力が上がります。自分自身の考え方や感じ方を見つめ直すことで、他者の視点を理解し、対話を深めることが可能になります。

しかしながら、自己の能力開発は困難な場面もあり、そのためにスーパービジョンが重要となります。

リーダーシップ開発としてのチームコーチング

現在の組織リーダーたちは、まるで嵐の中を航行する船長のように、問題が複雑に波立ち、目的地が次々と変わる厳しい環境に立たされています。そして、彼らは単に自分の船だけを操縦するのではなく、海域全体の船舶と協力しながら、風向きが変わるたびに素早く舵を切り、特定の組織に留まらず、境界を超えて協力し、迅速に行動し反省することが求められています。

このような環境下では、チームでの学習は不可欠であり、ライン管理者がリーダーシップを発揮する手法として、チームコーチングが主流になると考えられます。命令に頼るだけではチームを動かすことが難しく、1対1の関係によって生み出される力にも限界があります。

効果的なリーダーシップやマネジメント開発に必要な要素としては、リーダー自身の認識力や感情のメタ認知、実際の課題に対処できる具体的なアプローチ、多人数の集団で協調しながら獲得するチーム学習、そして行動、リフレクション、新たな思考、計画、試行、新たな行動の繰り返しとなる<アクション&ラーニング>のサイクルが挙げられます。

デューク大学の研究によれば、ハイパフォーマンスなチームは、高度な学習力を秘めています。その中でも特に、以下の4つの基本原則が指摘されています。

  • 問題解決型の学習:問題解決に焦点を当てた活動がチームの学習力を強化します。
  • 問いの創出:答えを与えるのではなく、疑問や質問を引き出すことが重要です。
  • チャレンジングな任務の提供:経験の少ないメンバーにも、挑戦的なタスクを与えることが求められます。
  • 失敗からの学習:失敗は学びの源泉であり、チームはこれを最大限に活用するべきです。

これらの原則は、全てのメンバーが自由に意見を述べられる環境と共に、チーム内の多様な視点を育むことで、チームの学習力をさらに向上させる鍵となります。そしてこれらの原則は、アクションラーニング(AL)の要諦でもあり、まさにチームコーチングに求められるスキルを示しています。
また、チームの成長を促進するためには、以下の3つの戦略が有効です。

  • 新規視点の導入:同一のメンバーだけでなく、外部の人々を巻き込むことで、新たな視点を導入します。
  • 前例の打破:既存の「こうやってきた」のパターンを再考し、新たなアプローチに挑戦します。
  • 弱点の共有:表面的な自己像ではなく、深層の自己を率直に共有し、チームの絆を深めます。

これらの戦略は、組織内の対話の質を高め、チーム学習を促進します。肯定的で支援的な視点を持つとともに、反省的で創造的な対話が可能な環境が、チームコーチングにおける成功への道筋となるでしょう。

まとめ

この時代、私たちは新しい組織形態を生み出し、さまざまな価値観と行動様式を受け入れ、様々な利害関係者の期待に応え、繋がりを強化するために、革新的な解決策を探し求めています。チームコーチングがその答えとなるでしょう。

かつて、チーム力向上のためにチームビルディング研修が行われていました。しかし、その研修自体が永続的な業績改善に繋がらないケースが多く、持続可能なパフォーマンス改善を実現するために、リーダーや外部のコーチがチームコーチングという形で関わり続けることが必要とされました。

なぜなら、この方法はチームに学習を促し、現実の業務に適応できるスキルを育むからです。

そして今、チームコーチングはこれまで以上に重要性を増しています。リモートワークが広まり、個々の働き方が多様化し、チームを束ねる求心力が試されているこの時代。短期間での激しい変化が求められる一方で、チーム内での対立や課題に対応するため、リーダーシップを発揮し、創造的な解決策を模索しなければならない時代です。

そんな中、チームコーチの役割は問題解決者ではなく、チーム全体が一体となり、問題を共有し、解決策を見つけ、学習を深めることを支援する存在です。チームコーチはチームの挑戦と成長を導き、新たな視点を開く手助けをし、コミュニケーションを促進し、共感と理解を深めることを助けます。
しかし、その役割は一筋縄ではありません。チームコーチングは個々のスキルや能力の向上だけではなく、チーム全体の視点から問題を捉え、システム全体の最善の利益を追求することを目指します。そして、それはパーソナルコーチングやコンサルティングとは一線を画したものです。パーソナルコーチングは個々の成長を重視しますが、チームコーチングではチーム全体の組織行動に焦点を当てます。コンサルティングはアドバイスや解決策を提供しますが、チームコーチングはチームが自ら問題解決のプロセスを学び、成長することを促します。

そうして、チームコーチングが働きかけるのは、個々の能力向上だけではなく、チームの結束力、効率性、そしてチームとしての共同学習です。私たちは一緒に働き、一緒に学び、一緒に挑戦し、一緒に成長し、そして一緒に成功を追い求めるなかで、私たちのチームが未来を創造する力を持つために、私たちはチームコーチングを必要としています。私たち全てのチームが、より強く、より賢く、より創造的になるために、チームコーチングが私たちの道しるべとなるのです。
長くなりましたが、以上の内容を基礎から学べるアクションラーニングの基礎講座を定期的に行っています。リーダーの経験をした方はわかると思いますが、知ること<知識>とやること<実践>では、天地の差があります。アクションラーニングの基礎講座では、実際にチームコーチングを体験していただくことができますので、講座を通じてチームコーチングの体験をぜひともお試しください。

著者:
清宮 普美代(せいみや ふみよ)
日本アクションラーニング協会 代表理事

大学卒業後、毎日コミュニケーションズ(現:マイナビ)にて事業企画や人事調査等に携わる。数々の新規プロジェクトに従事後、渡米。米国の首都ワシントンDCに位置するジョージワシントン大学大学院マイケル・J・マーコード教授の指導の下、日本組織へのアクションラーニング(AL)導入についての調査や研究を重ねる。外資系金融機関の人事責任者を経て、(株)ラーニングデザインセンターを設立。2006年にNPO法人日本アクションラーニング協会を設立し、国内唯一となるALコーチ養成講座を開始。600名強(2019年1月現在)のALコーチを国内に輩出している。また、主に管理職研修、リーダーシップ開発研修として国内大手企業に導入を行い企業内人材育成を支援。アクションラーニングの理解促進、普及活動を展開中
株式会社ラーニングデザインセンター
東京女子大学文理学部心理学科卒
ジョージワシントン大学大学院人材開発学修士(MAinHRD)取得。
マスターアクションラーニングコーチ(MALC)

メルマガ登録