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活動報告

2023年WIALアワード受賞!早稲田大学日向野幹也教授がWIALコーチング優秀賞に選ばれました!

日本アクションラーニング協会認定シニアALコーチでもある、早稲田大学の日向野幹也教授が、WIALグローバル・アワード委員会により、2023年度WIALコーチング優秀賞に選ばれました。

世界アクションラーニング研究所(WIAL)の加盟国は20カ国以上に上り、30カ国以上でアクションラーニングを用いたプログラムが展開されています。現在もその取り組みは拡大中で、特に最近はヨーロッパでもプログラムが広がっています。
WIALアワードは毎年1回開催され、各国での活動の中でも、画期的な成果を達成したプログラムや、アクションラーニングコーチが表彰されます。

日向野教授は、13年に渡る大学のリーダーシップ教育へのアクションラーニング活用と実績を認められ、Coaching Excellence Awardの優秀賞を受賞されました。

日向野教授より、受賞にあたってのコメントをいただきましたので、掲載いたします。

 

日向野幹也教授コメント

日向野 幹也

早稲田大学グローバルエデュケーションセンター 教授
International Leadership Association 理事
リーダーシップ開発コンサルタント

東京大学経済学部卒業,同大学院社会科学研究科博士課程修了,経済学博士(東京大学)
日本アクションラーニング協会認定シニアALコーチ,WIAL認定グローバルALコーチ

東京都立大学、立教大学を経て2016年4月より早稲田大学大学総合研究センター教授。立教大学では2006年日本随一・世界でも稀な学部レベル・5学期連続・必修を含む正課リーダーシップ開発プログラムBLPを立ち上げる。以後一貫して同プログラムの拡充に努め、2008年文科省・日本学術振興会「教育GP」に選定され、続いて2011年には「教育GP」の成果審査の結果、全国全分野合計でのトップ15プログラム(首都圏私立大で唯一、教育GP応募プログラム数で数えるとトップ1.6%)に選ばれる。2013年4月には立教大学全学を対象とするGLPも立ち上げる。このBLP/GLPが、2011年日本アクションラーニング協会年間賞、2014年世界アクションラーニング機構World Institute for Action Learning (WIAL、本部ワシントンDC) Academic Sector Awardを受賞。
16年4月には早稲田大学において全学部対象のリーダーシップ開発プログラム (LDP)を立ち上げ、同年度の授業について早稲田大学からティーチング・アウォードを受賞した。23年にWIALコーチング優秀賞を受賞。

ブログ「日向野幹也の研究室」
Facebook / Twitter、noteでも発信中

 

大学リーダーシップ教育とアクションラーニングの13年間

今回の受賞を大変うれしく思います。実は2014年にも立教大学を代表してAcademic Sectorの最優秀賞をいただいており、今回はそれに続く二度目の栄誉です。本稿では、過去13年間にわたる2つの大学でのアクションラーニングの導入について、そのプロセスと目的・成果について報告したいと思います。

 

立教大学でのアクションラーニング導入から500人のALセッションへ

最初にアクションラーニングに出会ったのは2010年秋でした。既に20064月から初代主査として我が国初の大学正課リーダーシップ開発プログラムである立教大学経営学部ビジネス・リーダーシップ・プログラム(BLP)を開始しており、学生からは熱狂的な支持を得ていましたが,徐々に課題も明らかになっていきました。

その一つがTAの養成です。当初、1年生のクラスのTAには基本的には面倒見の良い2年生が選任していましたが、1年生のグループワークに対して自分の経験だけで助言し感謝されたりクラスで注目を浴びたりするのが好きなだけの人も少なからず居て、TAとして受講生の真の学びに貢献するためにはどのようにふるまうのがいいか模索が続いていました。そのタイミングでアクションラーニングを知り、ALコーチのセリフの一つ一つがTAによる介入にぴったりであることに気づいて、TAの事前トレーニングにアクションラーニングを使い始めました。

さらにTAだけでなく受講生にとってもアクションラーニングのセッションにおける個人目標設定、問題再定義、振り返り、フィードバックなどが全てリーダーシップ教育に好適であることから、受講生にもアクションラーニングを広げようと考えました。その結果が、経営学部の新入生380人に対してTAを含む2年生120人が加わって、総勢500人が90のグループに分かれて、広い会場で同時進行のセッションを行うに至りました(写真1)。これと並行して、全学対象に開講しているGLP(Global Leadership Program)においてもアクションラーニングは中級科目として日本語と英語の両方で開講され人気科目の一つでした。

 

国際的認知とリーダーシップ教育の普及とその影響

2014年にインドのデリーで開かれたWIAL年次総会で、立教大学がアカデミック部門での年間優秀賞を授与され、小生が受賞記念講演を行ないました(写真2)。立教大学での展開と並んで、金城学院大学や共立女子大学でもリーダーシップ・プログラムの中核授業の一つとしてアクションラーニングが正課で行われるようになりました。またこの頃、小生がKouzes & Posnerを参考に学校現場で使いやすいようにまとめた「リーダーシップ最小3要素(目標設定共有: to share the goal,率先垂範: to set an example,同僚支援: to enable others)(2015)を発表し、アクションラーニングのなかのコーチ・問題提示者・メンバーの言動が最小3要素のどれにあたるかを考えるといったワークも授業で行うようになりました。

立教大学以外にアクションラーニングが広がるようになったのは、リーダーシップ教育自体のブームの始まりと深く関係しています。2006年からほぼ10年間は立教大学でのみ正課で行われていたリーダーシップ教育は2023年には30を超える大学で提供されるまでになっています。特に2016年前後からの急増は目を見張るものがあり、これは1990年代の北米の大学リーダーシップ教育の爆発的な普及に匹敵するものではないかと思われます。

 

早稲田大学でのアクションラーニングの導入と成功

私自身も2016年に早稲田大学に移籍して再びゼロからリーダーシップ教育を開始し、並行して他大学のリーダーシップ教育立ち上げにも助言するようになりました。早稲田大学では今度は最初からアクションラーニングを中級科目として設置しました。アクションラーニングは早稲田生の興味もひいたようで、アクションラーニングを主な内容とする「他者のリーダーシップ開発」は、開講初年度に「早稲田大学ティーチングアウォード」を受賞できました。

早稲田大学でアクションラーニングがヒットした原因は立教大学とはまた少し違う面をもっています。いわゆる難関校の一つであり、しかも早稲田出身者は「孤立や逆境に強い」という評判を伝統的に得てきていたのですが、その両方の副作用として、リーダーシップ最小3要素のうちの「相互支援」とくに支援を要請することがとても苦手な人が多いのです。これは、支援を要請するのは自分の負けを認めることであるという思い込みから発しています。このことは、授業中にほとんど誰もTAに助言を求めないという現象にも現れていました。

アクションラーニングを繰り返し行うと、支援を要請することとリーダーシップを発揮することは自然に両立できることがわかり、支援を要請してはいけないという思い込みが薄れていきます。実は2015年に発表したリーダーシップ最小3要素の第3番目は最初「同僚支援」だったのですが、支援は双方向であることを強調するためにこれを「相互支援」に変更したのもこの経緯があったからです。早稲田大学では、職員研修や、社会人リーダーシップ・プログラムであるWaseda Leadership Collegeにおいてもアクションラーニングが広汎に使われています。

 

早稲田大学をハブとして日本の大学でリーダーシップ教育が普及し始めていることが注目されて、202311月には、International Leadership Association (ILA)からPresident & CEOであるCynthia Cherrey博士が早稲田大学を訪問しました。博士は講演ののちに小生がおこなったワークショップにも参加され、教職員・学生らと英語によるアクショラーニングセッションにも参加しました。この日の一部始終はILAの公式ニューズレターや公式SNSにも掲載されています。

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新しい試み:卒業生ネットワーキングとアクションラーニング

最近の新しい試みとしては,私の40年間以上に渡る3大学での教え子たちの間に縦のつながりを形成し維持するために、アクションラーニングと食事会をセットで行うというイベントを開始し、既に好評のうちに半年間で3回を数えています。これは、初対面を含む6-7名でアクションラーニングを行なった後に、クッキングスタジオに移動してアクションラーニングで一緒であったグループ単位で調理を行って全員に食事を提供するという催しです。アクションラーニングの組織開発効果が発揮されて、調理の分業も円滑に行われる様子を目の当たりにすることができました。会が終わってからも大学の枠を超えた、広く緩い繋がりが維持されることでしょう。今後も引き続き大学生と社会人のリーダーシップ開発にアクションラーニングを効果的に活用し、他大学を支援する活動を続けていきたいと考えています。

 


また日向野先生のWIALコーチング優秀賞を記念したイベントが、12月5日に渋谷QWSにて開催されました。

イベントの様子はこちらでご覧いただけます。

 

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