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人間関係が築きやすくなるコミュニケーションにおける質問力

この記事は、書籍:「質問力」のつくり方をもとに記事を再構築した切り抜き記事です。

清宮 普美代 (著)

現在のビジネスシーンでは、昨日までの正解が明日には不正解になります。
このように「正解」がどんどん変化している時代では、たくさんの正解を知っているよりも、「考える力」をもっていることが重要です。
その力のスイッチを押すのが「質問」です。そして、効果的な質問をつくれるかどうか、つまり「質問力があるかどうか」が、これからのビジネスパーソンには求められているのです。

「興味をもってくれている」と思わせて好印象を

質問をすることは、「あなたに興味をもっています」という好印象を与えることができます。その結果、相手も好意を持ってくれると、あなたに対して興味をもって質問してくれるようになり、人間関係が築きやすくなります。
たとえば、いただいた名刺を置いて、すぐに本題に入っていませんか?
しかし、初対面の人と名刺交換をした際には質問のチャンスが多く、好意を示しやすい場になっています。「めずらし名字ですね。どこのご出身なんですか?」や「営業企画部というのは、どういう部署ですか?」など、名刺に載っている内容から話を広げられるのでネタの宝庫とも言えます。
さらに、出身地などの類似点や共通点をみつけることで、相手からの好意の獲得にもつながります。

また、話をしっかり聞いているということが相手に伝われば、さらにコミュニケーションの質もあがります。話が途切れたタイミングで「つまり、○○ということですね?」など、相手の話を要約することで「しっかり話しを聞いています」というメッセージになります。
仮に、まとめた要点が間違っていたりしても、相手に修正してもらえるので、お互いにどの程度話を理解しているのか認識することもできます。
このように、要約することを前提に話を聞いていれば、自然と集中して相手の話に耳を傾けるようになります。自分の話を真剣にきいてくれているとなると、話す側も嬉しくもなりますよね。

対立関係にも効果的な要約

先ほどの要約の話は、対立関係にあるときも効果的です。お互いに意見がぶつかっている時には、感情的になって自分の主張をぶつけてしまいがちです。
しかし、要約によって「あなたの話を聞いています」というメッセージを送ることができれば、相手も「理解しようとしてくれているなら、こちらも相手の話を聞こう」という感情が働きます。
このとき気を付けたいのが、相手の内容をそのまま要約するということです。自分の判断や解釈を加えると要約が形を変えた意見や主張になってしまうのであまり効果がありません。

会話を奪わず深掘りをする

会話の中では、掘り下げる質問も重要になってきます。たとえば「先週末ハワイに行ってきたんです」と相手が言ってきたら、「どうでしたか?」「誰と行ってきたんですか?」など質問することができます。しかし、質問ではなく「私も昨年ハワイに行ってね…」と会話を奪ってしまえば、相手は話したかったことが話せず不快な気持ちになってしまいます。素直に相手の話を聞き、掘り下げてあげるのが、よい人間関係の土台になります。

このように、相手の話を詳しく具体的に掘り下げていく質問のことを「フォローアップ質問」と呼んでいます。5W1Hのいつ、どこで、誰が、何を、どうして、という質問の基本形を使えば話を掘り下げやすくなります。
さらに、フォローアップ質問は「今の意見についてどう思いますか」というように他の人に質問を振ることもできます。質問を深めていくことにより、様々な情報を得ることができれば、お互いの理解度やコミュニケーションも深められます。

質問の仕方でモチベーションをあげる

しかし、質問には「力をそぐ質問」というものもあるので要注意です。質問によって相手のモチベーションを高めることも出来れば、やる気を失わせてしまうこともありますたとえば、上司から「ちゃんとやっているのか?」と質問されたら「ちゃんとやっていない」ことが前提のようで信頼されていないと感じてしまい、やる気を失ってしまいます。
一方で、「力を与える質問」をすればサポートされているというメッセージが伝わり勇気づけられます。たとえば、「それをするにはどうすればよいと思う?」などの肯定的な表現を使うように気を付けるとモチベーションを高めることができます。

では、なぜ「力をそぐ質問」がでてきてしまうのでしょうか。それは、過去に視点をおいていることが特徴となります。「なぜこんな失敗をしたのか?」「何が悪かったのか?」というように終わってしまった過去に視点を置いていることで批判的な質問になり、力をそぐ質問となってしまいます。
一方で、未来や可能性に焦点をあてた質問だとどうでしょうか。「これのよい点はどこか?」「このことから何を学ぶことができるのか?」というような質問をすれば前向きで肯定的なニュアンスになります。このような「力を与える質問」はコミュニケーションにおいても相手とポジティブな関係を築けるでしょう。

自由な発想を引き出すために

ここまで質問の仕方についてお話してきましたが、質問したあとの沈黙が苦手という方も多いのではないでしょうか。
しかし、質問を受けた側はなんと答えようか考える時間が必要になります。そんな時、先回りして「○○ということですか?」と結論を言われてしまったら、質問された側は「はい、そうです」とすぐに返事をすることになるでしょう。
沈黙がなければ、気まずい間も避けられますが、同時に相手の考えや意見を引き出す機会を失ってしまいます。そのため、質問後の沈黙は恐れなくていいということを覚えておいていただきたいです。

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