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質問力でネット検索では得られない答えを引き出すために必要な3つのコミュニケーションスキル

この記事は、書籍:「質問力」のつくり方をもとに記事を再構築した切り抜き記事です。

清宮 普美代 (著)

現在のビジネスシーンでは、昨日までの正解が明日には不正解になります。
このように「正解」がどんどん変化している時代では、たくさんの正解を知っているよりも、「考える力」をもっていることが重要です。
その力のスイッチを押すのが「質問」です。そして、効果的な質問をつくれるかどうか、つまり「質問力があるかどうか」が、これからのビジネスパーソンには求められているのです。

ネット検索だけでは見つからない答え

最近では、1人1台スマホを持つのが当たり前の時代ですよね。そのおかげで、疑問が生じたとき、誰もが簡単にインターネットで検索をかけることができます。
しかし、ネット検索は得られる回答が膨大ではるものの、全ての解決策が眠っているわけではありません。

そんな時、人に“質問”をしてみると、自分とは違う視点や価値観、相手の立場などを理解することができ、情報以外にも得られるものが山ほどあります。質問を通したコミュニケーションは、ネット検索だけで得る知識よりも豊かな知恵となり得るのです。

本音を引き出すために

とはいえ、むやみやたらに質問すればいいというわけではありません。質問に本音で回答してもらうには、まず自分から心を開く必要があります。
人のちょっと恥ずかしい話などを聞いて親近感が湧いたことはありませんか?
心理学の言葉でも「返報性の法則」と言って、自分から踏み込んだ話をすればするほど、お互いの自己開示が進んで親密度が増していくと言われています。
つまり、自分から心を開くことで本音のコミュニケーションを生み出すことができます。

質問上手は聞き上手

この「返報性」の話は、話を聞く時にも働きます。あなたが相手の話に真剣に耳を傾けて、興味をもって質問していれば、今度はあなたの話に耳を傾け、積極的に質問してくれるようになります。
また、相手の話をただ漠然と聞いている場合と、質問することを前提に真剣に話を聞いている場合とでは、後者の方が効果的な質問もできるでしょう。質問力がある人は、一方的に自分の話ばかりをしないのも特徴です。

思い込みで質問していませんか?

質問をする際には、いったん自分の規制概念や好き嫌いを取っ払って、話を聞くことも大切です。相手の決めつけで話を進められて「そんなつもりじゃないのに…」と感じたことはありませんか?

例えば、あなたが英会話教室の営業マンだとします。お客様が料金の高さを理由に入会を迷っていました。もし、あなたが「うちは業界でもトップクラスの低料金だ」という考えにとらわれていたらどうでしょうか。おそらく、「決して高くはありません」と説得をするでしょう。
しかし、この“低料金”という自分の考えを捨てて、「どうして高いと思われますか?」とお客様に質問できれば、「オンラインのeラーニングに比べて高い」という点で迷っていることがわかるかもしれません。それがわかれば、自社の良さは「フェイス・トゥ・フェイスの方が学習効果が高い」や「アフターフォローが充実している」といった、別の視点からも説得ができます。つまり、質問の際にも、相手の話をいったん受け止める姿勢が重要ということです。

3つのコミュニケーションスタイル

ここまでの話は、質問を通したコミュニケーションに焦点を当ててきましたが、コミュニケーションには、大きく分けて3つのスタイルがあるといわれています。

1つめは、「議論」

AとBの2つの立場が対立し、それぞれの意見を主張し合い、最終的にはどちらか一方の意見を選択するのが目的です。

2つめは、「会話」

いわゆる「おしゃべり」を思い浮かべてみてください。休憩中などに繰り広げる他愛ない話は、お互いに主張をぶつけ合うことやどちらかを選択する必要もありません。

3つめは、「対話」

対話は、AとBのそれぞれの意見をぶつけ合い、どちらかが勝者になるのではなく、両者が共有できる新しい意味を生みだします。
ここまでのお話であったように、自分の思い込みなどで主張をせず、相手の価値観などを理解するための質問をしていくことで、お互いの違いや問題点を明確にしていきます。たとえ、お互いの意見が違っていても、質問中心のコミュニケーションをすれば、対立はうまれにくくなります。

現実で多いのは…

しかし、会社の会議では、“議論“で決着をつけることが多いのではないでしょうか。
お互いの主張をぶつけ、問題点を指摘しあう議論では、勝つか負けるかの「戦うコミュニケーション」になりやすいです。
一方、ぶつかり合うのを避けて“会話”になってしまうこともあります。
人間関係を維持するために、会話の中では答えを導きださず、上司など仕事上の力関係で決着するケースも少なくありません。

「対話」で不毛な対立を避ける

では、“対話”はどのようにすれば生まれるのでしょうか。
重要となってくるポイントは他者受容です。ここまでの話でも、思い込みを捨てた質問や、相手の話を聞くことの大切さをお伝えしてきましたが、「相手はどういう立場で、どんな気持ちなのか?」と自問自答することも重要です。
このように、相手への共感をもつことで、お互いの立場を理解しやすくなり、「相手なら、こう考えるだろう、こう感じるだろう」という共通の土台が生まれます。そうした過程のなかで、自分の価値観も変化していき、同時に、相手の価値観や意見も変わっていくことで自然と対話ができるようになっていきます。
対話が生まれれば、異なる意見や立場からも共通のゴールを見つけ出し、第3の結論を導きだすことができます。
そのため、本記事を読まれた方にはぜひ、対話を実践してみていただきたいと思っています。

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